狭小住宅でも“居場所”をつくる設計|27坪のコンパクトな住まい

敷地面積27坪の土地に、床面積27坪の自邸を建築しました。

狭小住宅というと、多くの人がまず「狭い」・「窮屈」という印象を持ちます。
そのため設計の現場では、“いかに広く見せるか”が優先されがちです。
自邸を計画するにあたって私が意識したことは、
「どう広く見せるかよりも、どこに居場所をつくるか」です。
私の自邸は27坪と、極端に小さいわけではありませんが、計画次第で暮らしやすさが大きく変わるサイズ感でもあります。
この記事では、自邸を通して「居場所から考える設計」について解説します。
狭小住宅の広さと居場所
一つの大きな空間にすべてを詰め込むのではなく、気分や用途によって変える居場所をどう作るかを意識して、暮らしに様々なバリエーションが生まれるように計画しました。
寝室と坪庭の“余白”|何もしない場所の豊かさ

坪庭とベッドの間にある、ちょっとした”余白”
今はここに椅子とテーブルを置いています。(下に写真あります)
- 朝、坪庭からの柔らかい光を感じながら寛ぐスペース。
- 夜、坪庭をライトアップしながら寝る前に寛ぐスペース。
27坪という限られた面積の中で、あえてこの“余白”を作ることで暮らしの豊かさに繋がると考えてのことです。

椅子に座りながら妻と話をしたり、坪庭鑑賞して、寝る前のひと時を楽しんでいます。
また寝室の床は足触りの良い杉を採用し、それに合わせて天井にも杉を張り、「自然素材と坪庭」の居心地の良い空間となるように意識しました。
床は「節有り」、天井は節の少ない「上小節」の杉材を選定しました。

プロジェクター空間|3畳の“逃げ場”

妻のたっての希望で、大画面での野球観戦を目的とした小さな鑑賞室を設けています。
広さはたったの3畳ですが、この閉じた空間によって、より映像に没頭できる良さがありました。
ここはリビングとは別に設けて、妻が1人時間を楽しめるようにと計画したスペースです。
投影壁の反対側はこんな感じです。

ゲームセンターで収集したキャラクターのぬいぐるみに囲まれながら野球観戦ができて、妻は大満足の様子です。

最下段にあるのがプロジェクターで、ここから先ほどの大画面の映像を投影しています。
映像を楽しむためのスペースなので、窓を付けずにあえて薄暗い部屋としました。
限られた面積の中ではすべてをオープンにしたくなりますが、あえて閉じることで生まれる良さもあります。
我が家はケチって建具を付けませんでしたが、音は漏れ放題。
スゴク後悔しているわけではありませんが、扉つけたら良かったかも、っと若干後悔ポイントです。

バルコニー|外と内のあいだの居場所

我が家は2階リビングで、リビング続きにバルコニーを計画しました。
このバルコニーは坪庭上部の吹き抜けと繋がる空間で、素晴らしく気持ちの良い場所になりました。
ホットプレートで焼肉をしたり、普通の食事をしたり。庇があるので雨の日でもなんとなく外に出たくなったりもします。



2階のバルコニーは外壁やルーバーで囲って、周りから見られない工夫を施しています。
リビングのすぐ隣なので、ちょっと夜風にあたろっかな、みたいな気分になります。

この記事を執筆している今も、ここのバルコニーにいます。
閉じた空間なのでとても快適で、まるでcaféに来たかのようです。
書斎|集中ではなく“混ざる設計”

書斎というと個室で籠るイメージがあるかもしれませんが、私の書斎はダイニングのすぐ横に配置しています。
仕事や勉強をしながらも孤立しない距離感です。
音とか気になって集中できなさそう、、と思うかもしれませんが、案外集中できるものです。
むしろ静かすぎるとかえって落ち着かなくて、私にとっては雑音があるくらいがちょうど良いと感じています。

それと便利なのが、ダイニングチェアが書斎のチェアと兼用できる点が意外と良いところ。
そのために、書斎のカウンターの高さをダイニングテーブルと同じ高さに設定しています。
居場所は“広さ”ではなく“設計”でつくれる
ここで紹介したように、我が家ではただ広い空間をつくるのではなく、性質の異なる居場所を点在させることで、暮らしの豊かさが増大するようにと考えました。
- 籠る場所
- 外とつながる場所
27坪というサイズは、広さとして十分と感じるほどの大きさではありません。
しかし設計次第で広さ以上の豊かさをつくることができると思っています。
狭小住宅は制約が多いからこそ、設計の工夫がそのまま暮らしの質に直結します。
広さに頼らない家づくり、それが「居場所から考える設計」です。
まとめ
27坪という限られた広さでも、
- 暮らし方
- 光
- 居場所
を丁寧に設計することで、豊かで快適な住まいが実現できました。
広いに越したことはありませんが、
その代わりに必要なのは、「どんな居場所が、どれくらい密度よく存在しているか」という視点です。
広さではなく、居場所の設計。
それが、これからの小さな住まいの一つの答えだと思います。


