狭小地はやめた方がいい?敷地面積27坪の自邸で感じたデメリットと解決方法
私は土地面積27坪という、札幌では決して広いとはいえない土地に自邸を設計・建築しました。

家づくりを考え始めると、多くの人がまず「できるだけ広い土地」を探そうとします。
不動産情報を見ていても、面積の小さい土地はなんとなく避けてしまう。
そんな感覚は、ごく自然なことだと思います。
「狭いと暗そう」
「窮屈そう」
「庭が取れない」
「後悔しそう」
狭小地には、このようなイメージを持つ方も少なくありません。
実際に狭小地には、建てられる建物の大きさや採光、プライバシーなどのデメリットがあります。
私自身も27坪の土地を初めて見たとき、「やっぱり狭いな」という印象はありました。
ただ、不安はそれほどありませんでした。
これまで建築士としてさまざまな住宅を設計する中で、土地には必ず良い面と悪い面があり、その特徴を活かすことで、お施主様に満足していただける住宅を数多く計画してきたからです。
その経験から自邸でも「27坪という制約はあるけれど、設計次第で快適な住まいにできる」と考えていました。
そして実際に暮らしてみると、その考えは間違っていませんでした。
もちろん狭小地ならではのデメリットはあります。
しかし、その多くは設計によって印象を大きく変えることができます。
この記事では、私が実際に暮らして感じた狭小地のデメリットと、それに対してどのような設計で向き合ったのかを、自邸を例に紹介します。
狭小地の最大のデメリットは「小さくしか建てられない」こと

狭小地における最大のデメリットは、シンプルに「建てられる家が小さくなる」ことです。
例えば30坪の土地で建蔽率が40%の場合、建築面積は約12坪です。
2階建てにしても延床面積は24坪程度となり、広さに余裕のある住まいを計画するのは簡単ではありません。
さらに用途地域によっては日影規制などの影響を受け、3階建てが難しいケースもあります。
つまり狭小地では、
- 部屋数を優先するのか
- 収納を優先するのか
- LDKを広くするのか
限られた面積の中で「何を優先するか」を決める必要があります。
だからこそ、狭小住宅では間取り以上に「設計」が重要になります。
実際、私が27坪の土地を選んだ理由も、「広さ」ではなく「立地」と「暮らしの質」を優先したかったからです。
建物をコンパクトにすることで予算を抑え、その分を住宅性能や住み心地にかけることを選びました。
採光は不利になりやすいが「2階リビング」で緩和できた

狭小地では、隣家との距離が近くなるため、どうしても採光条件は厳しくなります。
特に1階は光が入りにくく、日中でも暗さを感じるケースはあります。
私自身も計画段階から「ある程度暗くなるだろう」という想像していました。
実際に住んでみても、一般的な住宅と比べるとやや暗さは感じます。
ただ、正直な感想としては「思っていたほどではない」という印象です。
その理由は、2階リビングと坪庭を組み合わせたことでした。
生活の中心となるLDKを2階に配置したことで、周囲の建物の影響を受けにくくなり、安定した採光を確保できます。
さらに、坪庭から光と視線が抜けることで、室内全体が面積以上に明るく感じられるようになりました。
採光を確保する方法として吹き抜けも考えられますが、吹き抜けは施工面積が増え、その分コストも高くなります。

そこで私は、吹き抜けではなく「外部空間」として坪庭をつくることを選びました。
結果として、光を取り込むだけではなく、開放感やプライバシーも同時に確保できたと感じています。
2階リビングについては、メリット・デメリットも含めてこちらの記事で紹介しています。
プライバシーの確保は「視線設計」が重要になる

狭小地では隣家との距離が近いため、視線の問題は避けて通れません。
窓を開けると隣家と目が合う。
カーテンを閉めたまま生活する。
そのような住まいでは、せっかく窓を設けても開放感は得られません。

そこで自邸では、家の中心に坪庭を計画しました。
外に向かって大きく開くのではなく、内部に向かって視線を抜くことで、外部の視線を気にせず開放感をつくる考え方です。
坪庭の周囲にはルーバーを設け、外からの視線を遮りながら、光や風は取り込めるようにしました。
そのため、お風呂に入りながら庭を眺めたり、寝る前や朝起きたときに季節の変化を感じたりと、日常の中で庭を楽しめる場所になっています。
さらに2階のリビング・ダイニングからも坪庭を見下ろせるため、家のさまざまな場所で緑を感じられます。
採光、プライバシー、そして庭。
狭小地で課題になりやすい3つの要素を、坪庭という一つの設計で解決できたことは、自邸で特に満足しているポイントです。
視線の抜けをどのように計画したのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
庭が取れなくても「眺める庭」は取れる

狭小地では、いわゆる「使う庭」を確保するのは難しくなります。
子どもが走り回れる広い庭や、BBQを楽しめるスペースを設けるのは、土地の大きさによっては現実的ではありません。
しかし、自邸では「庭は使うもの」という考え方を少し変えました。
計画したのは、暮らしの中で眺めて楽しむ坪庭です。
リビングやダイニングはもちろん、お風呂や寝室からも庭を眺められるように配置することで、小さな庭でも日々の暮らしに豊かさを感じられる空間になりました。

また、2階のリビング・ダイニングから見下ろせるため、家全体が庭とつながっているような感覚があります。
実際に遊びに来た友人や知人からは「27坪とは思えない」「思ったより広く感じるね」と言われることも少なくありません。
面積を広げることはできなくても視線の抜けをつくることで、空間の感じ方は大きく変わることを実感しています。
坪庭の計画や配置の考え方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
工事や施工性は条件によって影響を受ける
狭小地では、工事中の制約が増えるケースもあります。
- 足場が組みにくい
- 資材搬入がしづらい
- 作業スペースが限られる
- 仮設トイレが設置できない
こうした条件によって、施工の手間が増える可能性はあります。
自邸の建築にあたって、仮設トイレの設置や工事車両の駐車場として、近隣の空地を借りていました。
その結果、仮設工事だけで30万〜40万円ほど費用が増えています。

ただし、これは狭小地だから必ず起こるわけではありません。
前面道路の幅や敷地形状・周辺環境によって大きく変わるため、事前に施工会社や設計者へ確認しておくことをおすすめします。
それでも私が27坪の土地を選んで良かったと思う理由

ここまで、狭小地のデメリットについて紹介してきました。
もちろん、予算に余裕があるのであれば、もう少し広い土地を選ぶと思います。
しかし、予算が同じ条件であれば私はもう一度27坪前後の土地を選びます。
なぜなら土地を広くすることよりも、立地・住宅性能・設計に予算をかけたいと考えているからです。
実際に暮らしてみると「もっと広い土地にすればよかった」と感じる場面はほとんどありません。
それよりも「この土地でどう暮らすか」を考えて設計したことのほうが、住み心地に大きく影響していると感じています。
私が27坪の土地に計画した経緯もこちらの記事で紹介しています。
まとめ|狭小地は「欠点」ではなく「条件」
狭小地には確かにデメリットがあります。
- 建てられる家が小さくなる
- 採光やプライバシーに工夫が必要になる
- 庭を広く取ることが難しい
- 工事費が増えるケースもある
私自身、27坪という限られた土地で暮らしてみて感じるのは、暮らしやすさを左右するのは土地の広さだけではなく「どう設計するか」だということです。
狭小地だからといって最初から候補から外してしまうのは少しもったいないかもしれません。
もし土地探しで悩んでいるなら「広さ」だけではなく、その土地の可能性にも目を向けてみてください。
設計次第で想像以上に快適な住まいを実現できることもあります。
土地には、それぞれ良い面と悪い面があります。
大切なのは、その土地の欠点だけを見るのではなく、特徴をどう活かすかという視点です。
それが、建築士として27坪の土地で暮らしてみて、改めて実感したことでした。
札幌市近郊で土地探しや家づくりをご検討されている方は、お気軽にご相談ください。
敷地条件を読み取り、その土地の魅力を活かした住まいをご提案いたします。






