27坪の家は狭い?|一級建築士が自邸で実感したコンパクトな家のメリット・デメリット

一級建築士|ドル

「27坪の家では狭い。」

家づくりを考え始めると、そう感じる方は多いのではないでしょうか。

実際、私も自分の家を設計していた頃は、「住み始めたら狭く感じるかもしれない」と思っていました。

妻にも「住み始めたら狭いって言うと思うよ」と話していたほどです。

しかし、2025年に敷地27坪・延床約27坪の自邸で暮らし始めると、27坪に対する印象は大きく変わりました。

結論から言えば、夫婦2人で暮らす私たちにとって、27坪は十分な広さでした。

こちらが我が家のLDKの写真です。

広い家ではありませんが、それでも実際に暮らしてみると、不満はほとんどなく想像以上に快適でした。

一級建築士 ドル
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もちろん、すべての家庭に27坪をおすすめできるわけではありません。

家族構成や暮らし方によって、必要な広さは変わります。

それでも実際に暮らしてみると、家の快適さは単純な床面積だけで決まるものではない、と感じています。

我が家で特に意識したのは、

  1. 視線の抜けをつくること
  2. 2階LDKで光とプライバシーを確保すること
  3. 家の中にいくつもの居場所をつくること

の3つです。

この記事では、一級建築士として自邸を設計し、実際に暮らしている立場から、27坪でも快適に暮らせた理由や、住んで分かったメリット・デメリットを、実際の間取りとともにご紹介します。

27坪はどのくらいの広さ?

27坪は約89㎡です。
我が家は敷地約27坪・延床約27坪の2階建てで、夫婦2人で暮らしています。
実際に暮らした感覚では、夫婦2人なら十分な広さだと感じています。ただし、家族構成や必要な個室数、収納量によって必要な広さは変わります。

27坪が成立する条件|家族構成と暮らし方

まず最初にお伝えしたいのは、27坪という広さを、すべてのご家庭におすすめできるわけではないということです。

同じ27坪でも、家族の人数、必要な個室、持ち物の量、庭の使い方によって、十分にも不足にもなります。

我が家は現在、27坪の敷地で27坪の家に夫婦2人で暮らしています。

私自身、夫婦2人もしくは子ども1人くらいまでの家族構成であれば、快適に暮らしていける広さだと考えています。

一級建築士 ドル
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27坪でも3LDKを計画すること自体は可能です。

ただ、家族が増えれば、それぞれの居場所や収納、プライバシーも必要になります。

そのため、「27坪あれば十分」と一括りにするのではなく、家族構成や暮らし方から必要な広さを考えることが大切です。

例えば、27坪という広さを検討するときは、次のような点を確認しておく必要があります。

  • 将来を含めて何人で暮らすのか
  • 本当に必要な個室はいくつあるのか
  • どのくらいの収納量が必要なのか
  • 広い庭や家庭菜園を求めているのか
  • 広さと性能、素材のどこに予算を使いたいのか

家族の人数だけではなく、持ち物や過ごし方まで考えることで、自分たちに必要な広さが見えやすくなります。

住宅価格が上昇する中で、私が伝えたいのは「小さい家にしましょう」ということではなく、

「自分たちの暮らしに、本当にその広さが必要なのか。」

という点を、一度考えてみる価値はあると思っています。

「27坪では少し狭いかもしれない。30坪あれば何が変わるのだろう」と迷っている方は、27坪と30坪の「3坪の差」についてこちらの記事で比較しています。

▶︎ 27坪と30坪、どっちがいい?|一級建築士が考える家の広さと「3坪の差」

27坪の自邸|実際の間取り

では実際に、27坪の我が家の間取りをご紹介します。

我が家は敷地面積が約27坪、ガレージを除いた延床面積も約27坪です。

限られた27坪という面積の中で意識したのは、「部屋を増やすこと」ではなく、面積以上の広がりを感じられる空間をつくることでした。

坪庭への視線の抜け、2階LDK、いくつかの居場所をつくることを意識して間取りを考えました。

広い家を目指すのではなく、限られた面積をどう使えば心地よく暮らせるかを考えた間取りです。

1階平面図

1階平面図

1階には

  • ガレージ
  • エントランス
  • シューズクローク
  • 寝室
  • 浴室
  • ランドリー
  • トイレ

を配置しています。

生活に必要な機能をコンパクトにまとめながらも、廊下の延長には坪庭を計画しました。

寝室や浴室から緑を眺められるようにすることで、限られた面積でも閉塞感を感じにくい空間を目指しています。

一級建築士 ドル
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2階平面図

2階平面図

2階には、家族が長い時間を過ごすLDKを配置しました。

1階を休む・整える場所とすると、2階は、食事をしたり、くつろいだり、仕事をしたりと、日中の暮らしの中心になるフロアです。

坪庭の上部は吹き抜けとなっており、ダイニングやリビング、ルーフテラスまで視線がつながります。

ガレージを除く延床面積は約27坪と、決して広い家ではありません。

それでも「どこまで視線が抜けるか」を意識することで、実際の畳数以上の広がりを感じられるように計画しています。

一級建築士 ドル
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坪庭を中心に、家の中からどこへ視線を抜くかを考えた設計については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の狭小地でも開放感をつくれる|坪庭で視線をデザインした自邸の実例

空間構成|立面図・断面イメージ

立面・断面で見るとこのような構成になります。

立面と断面イメージ

坪庭を中心に上下階がゆるやかにつながり、家全体に光や風、視線が巡る計画を意識しています。

住む前から「こんな暮らしができそうだ」と想像していましたが、実際に暮らしてみると、想像以上に心地よい空間になりました。

ルーフテラスで仕事をしたり、夫婦で焼肉を楽しんだり。

27坪という数字だけでは想像できない豊かさを感じています。

ルーフテラスは、設計段階では「本当に使うだろうか」と少し迷っていた場所です。

でも、実際に暮らし始めると、天気の良い日に仕事をしたり、夫婦で焼肉をしたり、思っていた以上に使う場所になりました。

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この間取りで意識した3つのポイント

この家で大切にした考え方は、大きく3つあります。

自邸の3つのポイント
  1. 坪庭を中心にした”視線の抜け”をつくること
  2. 2階LDKで光とプライバシーを確保すること
  3. できるだけ居場所をつくること

どれも、床面積を広くするための工夫ではありません。

限られた面積でも、心地よく暮らすための工夫です。

ここからは、それぞれについて詳しくご紹介します。

ポイント①|坪庭を中心に“視線の抜け”をつくる

リビング続きのルーフテラスから坪庭を見る

この家で最も大切にしたのが、坪庭を中心に空間を構成することです。

27坪という限られた面積では、床面積を増やすだけでは広さに限界があります。

そこで私が考えたのは、「広い家」を目指すのではなく、広く感じる家をつくることでした。

そのために計画したのが、生活の中心に配置した坪庭です。

我が家は周囲を住宅に囲まれているため、窓を大きく開けても、その先に広い景色があるわけではありません。

そこで、自分たちの敷地の中に小さな外部空間をつくり、寝室、浴室、ダイニング、リビングなど、家のさまざまな場所から視線が抜けるように計画しました。

実際に暮らしてみると、床面積は変わらなくても、視線が外へ抜けることで体感的な広さは大きく変わると感じています。

限られた27坪の中で、視線の抜けによってどのように広がりをつくったのかは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の狭小地でも開放感をつくれる|坪庭で視線をデザインした自邸の実例

ポイント②|2階LDKで光とプライバシーを確保

我が家では、LDKを2階に配置しています。

理由は、限られた敷地条件の中で、できるだけ明るく開放的な空間をつくりたかったからです。

1階にはガレージや玄関、シューズクローク、水まわりなどを配置する必要がありました。

そのため、我が家の条件で1階にLDKを計画すると、十分な面積を確保しにくいと考えました。

さらに、敷地の周囲には住宅が近接しています。

1階では光を取り入れにくいだけでなく、隣家からの視線も気になりやすい環境でした。

そこでLDKを2階へ配置することで、光を取り込みやすくすると同時に、プライバシーも確保しています。

実際に暮らしてみると、この選択は想像以上に快適でした。

朝から自然光が入り、カーテンを閉め切ることなく過ごせる時間が多くなりました。

また、隣家からの視線を気にすることがほとんどなく、リビングやダイニングでゆったり過ごせるのも大きなメリットです。

もちろん、2階リビングには階段の上り下りなどデメリットもあります。

それでも我が家では、明るさ・プライバシー・LDKの広さを優先した結果、2階に配置するメリットの方が大きいと判断しました。

2階リビングで実際に暮らして感じているメリットと、階段移動などのデメリットはこちらで詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の2階リビングは後悔する?一級建築士が自邸で暮らして分かったこと

ポイント③|できるだけ居場所をつくる

ダイニング一角の書斎コーナー

この家では、「部屋を増やす」ことよりも、家の中に居場所を増やすことを意識して設計しました。

ここでいう居場所とは、リビングのような大きな空間だけではありません。

  • なんとなく本を読める場所
  • 少し仕事ができる場所
  • ぼんやり外を眺められる場所
  • 家族の気配を感じながらも、一人の時間を過ごせる場所

そんな、目的を決めすぎない”余白のある空間”のことです。

実際の暮らしでは、家族がいつも同じ場所で過ごすわけではありません。

  • 少し一人で考えごとをしたいとき。
  • スマートフォンを眺めながらのんびりしたいとき。
  • 仕事や読書に集中したいとき。
  • 家族と一緒にいたいけれど、少しだけ距離を取りたいとき。

暮らしの中には、そんな時間が意外とたくさんあります。

だからこそ、「この部屋は○○専用」と用途を限定するのではなく、その時の気分に合わせて自然に居場所を選べる家にしたいと考えました。

例えば、ダイニングの一角にある書斎コーナー。

ふとした時に仕事をしたり、本を読んだりと、自然に使う場所になっています。

妻には、小さな籠もり部屋をつくりました。

プロジェクターで映画を観たり、野球中継を楽しんだり、推しのライブを見たり、一人の時間を満喫できるお気に入りの場所になっているようです。

プロジェクターで観る野球中継

また、天気の良い日はルーフテラスで仕事をしたり、夫婦で焼肉を楽しんだり。

家の中だけでなく、屋外にも居場所をつくることで、その日の気分に合わせて過ごす場所を選べるようになりました。

家が広いことと、居場所が多いことは、必ずしも同じではありません。

限られた面積だからこそ、一つひとつの場所に役割を持たせることで、暮らしの豊かさは大きく変わると感じています。

暮らし始めて感じたのは、「広いリビングがあること」よりも、「今日はどこで過ごそうかな」と自然に選べることの心地よさでした。

この家では、その日の気分によって過ごす場所が変わります。それが、毎日の暮らしを少し豊かにしてくれています。

私は家づくりとは、「部屋を設計すること」ではなく、「過ごし方を設計すること」だと思っています。

一級建築士 ドル
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限られた27坪の中で、どのように過ごす場所をつくったのかは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の家でも豊かに暮らせる|4つの居場所をつくった自邸の設計実例

27坪の自邸で暮らして感じた5つのメリット

27坪|我が家のメリット
  1. 坪庭によって、面積以上の広がりと心地よさを感じられる
  2. 建物にコストをかけやすく、空間の質を高められる
  3. コンパクトだから成立する動線と暮らし
  4. 寝室と水まわりを1階にまとめ、将来の負担を減らしやすい
  5. 光熱費を抑えやすい

坪庭によって、面積以上の広がりと心地よさを感じられる

実際に暮らし始めて、一番「計画して良かった」と感じているのが坪庭です。

設計中から、この家の中心になる場所だと考えていましたが、住んでみると想像していた以上に暮らしを豊かにしてくれています。

朝は坪庭を眺めながらコーヒーを飲み、

昼は吹き抜けを通して変化する光を楽しみ、

夜はライトアップされた坪庭を眺めながらお風呂に入り、寝室では夫婦で一日の出来事を話しながら過ごしています。

同じ坪庭でも、時間帯によって見え方や雰囲気が変わるため、毎日の暮らしの中でも飽きることがありません。

ダイニング・リビングから坪庭空間を見下ろしたり、空間の抜けがあったり。

ダイニングから坪庭を見る

ダイニング自体は約6畳ですが、視線が坪庭へ抜けるため、数字ほどの狭さは感じていません。

暮らし始めて分かった坪庭の価値は、空間を広く見せることだけではありませんでした。

同じ坪庭でも、時間や見る場所によって表情が変わります。

畳数を広げるのではなく、視線をどこまで伸ばせるか。

その方が、暮らしの満足度には大きく影響すると感じています。

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建物にコストをかけやすく、空間の質を高められる

家をコンパクトにしたことで、一番大きかったのは空間の質にしっかりコストを掛けられたことです。

住宅は広くなるほど、床や壁、天井、設備など、あらゆる材料が増えていきます。

つまり、広さを求めるほど建築費も大きくなります。

だからこそ私は、面積を抑える代わりに、その分の予算を毎日の暮らしを豊かにする部分へ使うことを選びました。

例えばお風呂。

我が家では、はじめからユニットバスを採用するつもりはなく、ハーフユニットに板張りを組み合わせ、坪庭を眺めながら入浴できる空間にしています。

浴室と洗面脱衣スペース

お風呂の広さは、数字で見れば標準的な1坪サイズですが、毎日過ごす時間の満足度は想像以上でした。

賃貸住宅に住んでいた頃、妻はシャワーだけで済ませることがほとんどでした。

ところが、この家に住んでからは、ほぼ毎日浴槽に浸かるようになりました。

私はもともとお風呂が好きですが、この家では朝・昼・夕方・夜と、時間によって表情が変わる坪庭を眺めながら、一日に何度も入浴することもあります。

心地よく過ごせる空間になったことで、自然とそこで過ごす時間が増えました。

こうした小さな積み重ねが、暮らし全体の満足度につながっていると感じています。

広さを優先していたら、費用を捻出できず実現できなかったと思います。

毎日使う場所だからこそ、広さよりも「そこでどんな時間を過ごせるか」を大切にして良かったと感じています。

一級建築士 ドル
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家づくりでは、「何を広くするか」よりも、「どこで心地よく過ごすか」の方が、暮らしの満足度に大きく影響する気がしています。

コンパクトだからこそ成立する動線と暮らし

コンパクトな家に住んで実感したのは、床面積の広さだけではなく、日々の動きやすさも暮らしやすさを左右するということです。

面積が小さい分、家の中を移動する距離は自然と短くなります。

  • 「物を取りに行く」
  • 「洗濯物を片付ける」
  • 「お風呂に入る」

毎日の何気ない動作でも、移動が少ないだけで想像以上に負担が減ります。

一つひとつは小さな違いですが、それが毎日積み重なることで、暮らし全体がとてもスムーズになりました。

また、我が家では寝室と浴室、ランドリーなどの水まわりを1階にまとめています。

帰宅して着替え、お風呂に入り、寝室へ向かうまでの流れがとても自然で、生活動線にも無駄がありません。

コンパクトな家だからこそ、一つひとつの動きを丁寧に考えられたことも、この家の大きなメリットだと感じています。

暮らし始めてからは、「掃除を始めるまでのハードル」も下がったように感じています。

寝室と水まわりを1階にまとめ、将来の負担を減らす

ただいま動線を考慮して、1階に水廻りを集約

もう一つ意識したのが、年齢を重ねたときの暮らしです。

現在は2階のLDKで過ごす時間が中心ですが、寝室、浴室、ランドリー、トイレは1階にまとめています。

LDKが2階にあるため、将来的に1階だけですべての生活が完結するわけではありません。

それでも、入浴や就寝に伴う上下移動を抑えられることには意味があると考えました。

家づくりでは、現在の暮らしやすさに目が向きやすくなります。

しかし、家は何十年と暮らす場所です。

10年後、20年後に家の中でどのように動くのか。

すべての変化に対応することは難しくても、将来の負担を少し減らせるように考えておくことは大切だと思います。

2階LDKには将来の階段移動という課題があります。

その一方で、寝室と水まわりを1階にまとめたことで、入浴や就寝に伴う移動は抑えられるようにしました。

一級建築士 ドル
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27坪の家で老後まで暮らせるのか、2階リビングや階段の問題も含めて考えたことは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の家で老後は暮らせる?一級建築士が自邸をもとに考えたこと

光熱費を抑えやすい

家をコンパクトにすることは、建築費だけでなく、住み始めてからの光熱費にも影響します。

暖めたり冷やしたりする空間そのものが小さいためです。

もちろん、光熱費は家の大きさだけでは決まりません。

断熱・気密性能、窓、暖房設備、換気設備、暮らし方など、さまざまな条件によって変わります。

我が家では断熱性能を高めたうえで、延床面積を27坪に抑えたこともあり、実際の暖房費も比較的抑えられています。

正直に感じているデメリット

ここまで27坪の家のメリットをご紹介してきましたが、もちろん良いことばかりではありません。

どんな家にも、メリットとデメリットがあります。

実際に暮らしてみて感じたのは、「何を優先するか」を決めた結果として受け入れているデメリットばかりだということです。

ここでは、住んでみて感じていることを正直にお伝えします。

27坪|我が家のデメリット
  1. 個室や収納を増やす余裕は少ない
  2. 寝室上部の音が気になることがある
  3. 2階LDKは階段移動が増える
  4. 日当たりや庭の使い方は敷地条件に左右される

個室や収納を増やす余裕は少ない

我が家は、夫婦2人、将来的には子ども1人までを想定して計画しています。

現在の暮らしには合っていますが、想定以上に家族が増えた場合には、個室や収納が不足する可能性があります。

また、限られた面積をそれぞれの用途に使っているため、将来大きく間取りを変更する余裕もそれほどありません。

コンパクトな家では、「何にでも対応できる余白」を確保することが難しくなります。

そのため、現在必要な部屋だけではなく、将来の家族構成や持ち物の量まで考えておく必要があります。

我が家は何でも対応できる家ではありません。

その代わり、自分たちの暮らし方をある程度明確にしたことで、今の生活には無駄の少ない住まいになったと感じています。

寝室上部の音が気になることがある

暮らし始めて分かった課題の一つが、寝室の上にある書斎コーナーの音です。

書斎で椅子を動かしたり、床に物を置いたりすると、その音が寝室まで伝わることがあります。

図面上では、寝室と書斎を別の階に分けています。

しかし実際の暮らしでは、平面上の距離だけでなく、上下階の関係も考える必要がありました。

寝室の上にどのような空間を配置するのか。

その場所を、家族が何時頃に使うのか。

間取りを考えるときには、部屋の配置だけでなく、それぞれを使う時間まで想像することが大切だと実感しています。

現在は生活に大きな支障があるほどではありませんが、もう一度設計するなら、床の防音や上下階の配置について、もう少し丁寧に検討したい部分です。

寝室の上に書斎をつくって実際に感じた音の問題と、もう一度設計するならどう考えるかについては、こちらの記事で詳しくまとめています。

▶︎ 小さい家は音で後悔する?27坪の自邸で暮らして分かった上下階の注意点

2階LDKは階段移動が増える

2階LDKにしたことで、採光とプライバシーは確保しやすくなりました。

一方で、玄関からLDKへ移動するためには、必ず階段を上る必要があります。

  • 買い物した物を運ぶとき。
  • 宅配便を受け取るとき。
  • 1階へ忘れ物を取りに行くとき。

一つひとつは小さな移動ですが、1階LDKと比べれば階段を使う回数は多くなります。

現在は大きな負担に感じていません。

しかし、年齢を重ねたときにも同じように暮らせるとは限りません。

我が家では、寝室や浴室などを1階にまとめていますが、LDKが2階にある以上、将来の階段移動は残る課題です。

それでも、周囲を建物に囲まれた我が家では、2階LDKによって得られた明るさやプライバシーの方が、今のところ大きいと感じています。

外部空間の使い方が限定される

午後のリビング窓際

我が家は商業地域にあり、周囲には建物が近接しています。

そのため、敷地条件として日当たりに恵まれているとは言えません。

LDKを2階に配置したことで必要な明るさは確保できていますが、お昼を過ぎると直射日光よりも間接光が中心になります。

南側が大きく開けた住宅のような明るさを期待すると、物足りなく感じる方もいると思います。

ただ、我が家は「一日中日当たりのよい家」を目指したわけではありません。

限られた敷地条件の中で光を取り入れ、外からの視線を抑えながら、落ち着いて過ごせることを優先しました。

午後のやわらかい光も含めて、私は今の空間を気に入っています。

また、敷地が27坪のため、一般的な庭のような広い外部空間は確保できません。

家庭菜園を楽しんだり、子どもが走り回ったりする庭を求める方には、向いていないと思います。

我が家の坪庭は、「使う庭」というよりも「眺める庭」です。

四季の変化や光の移ろいを楽しみ、室内に広がりを生み出すことを目的にしています。

  • 広い庭を優先するのか。
  • 室内から眺める外部空間を優先するのか。

庭に求める役割によって、必要な敷地の広さも変わります。

我が家では、日当たりや庭の広さを最大化するのではなく、限られた条件の中で光と緑をどのように感じられるかを考えました。

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もう一度建てても27坪にする?

ここまでメリット・デメリットをご紹介してきましたが、「もう一度家を建てるとしても27坪にするか?」と聞かれたら、今のところ私の答えは「大きくは変えない」です。

もちろん、「あと少し広ければ」と思う場面がまったくないわけではありません。

寝室上部の音や、将来の階段移動については、もう一度設計するなら改めて検討すると思います。

それでも、そのために家全体を大きくするかと聞かれれば、今のところ答えは「大きくは変えない」です。

建築費や光熱費とのバランスまで考えると、私たちの暮らしには27坪くらいがちょうどよかったと感じています。

むしろ住んでみて分かったのは、広さそのものよりも、「どこで、どう過ごしたいか」を考えてつくった場所の方が、毎日の満足度に大きく影響しているということでした。

  • 坪庭を眺めながらお風呂に入ること。
  • ダイニングの一角で仕事をすること。
  • 天気の良い日にルーフテラスへ出ること。
  • 妻が小さな籠もり部屋で好きな映像を楽しむこと。

こうした時間は、家をあと数坪広くするだけでは生まれなかったかもしれません。

だから今は、「27坪しかない」という感覚ではなく、「私たちには27坪くらいがちょうどよかった」と感じています。

この家が向いている人・向かない人

向いている人

  • コストと性能のバランスを重視したい方
  • コンパクトでも快適に暮らしたい方
  • 空間の“質”に価値を感じる方

向かない人

  • とにかく広さに安心感を求める方
  • 個室数や収納量に余裕を求める方
  • 庭や家庭菜園など、敷地の余裕を重視したい方

手放すことがデメリットではなく、「それによって得られるもの」のメリットを考える方が、良い家づくりになるのではないかという気がしています。

まとめ|広さよりも“質”という選択

実際に27坪の自邸で暮らしてみて、私たち夫婦にとっては、この広さで十分だったと感じています。

ただし、それは「27坪あれば誰でも快適に暮らせる」という意味ではありません。

家族構成や持ち物、必要な個室、庭の使い方などによって、必要な広さは変わります。

大切なのは、最初から「何坪の家を建てるか」を決めることではなく、

「そこで、どんな暮らしがしたいのか」を考えること。

我が家では、床面積を広げる代わりに、坪庭や素材、性能、そして家の中にいくつもの居場所をつくることに予算と面積を使いました。

その選択が正解だったかどうかは、図面だけでは分かりませんでした。

でも実際に暮らしてみた今は、27坪という数字以上に、心地よく暮らせていることの方が大切だったと感じています。

もし「自分たちにはどのくらいの広さが必要なんだろう」と迷っている方がいれば、土地や家族構成、暮らし方から一緒に考えることもできます。

土地や間取りについて迷っている方は、お気軽にご相談ください。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

27坪という数字だけを見て、「狭い」「十分」と判断しなくても大丈夫です。

まずは、

  • 将来を含めて何人で暮らすのか
  • 本当に必要な個室はいくつあるのか
  • 家族がどこで、どのように過ごしたいのか
  • 広くしたい場所と、コンパクトでもよい場所はどこか
  • 広さ以外に予算を使いたいものはあるか

を考えてみてください。

そのうえで、

「自分たちがしたい暮らしに、本当に何坪必要なのか。」

を考えてみてほしいと思います。

家を小さくすることが目的ではありません。

必要な広さを考えた結果として、27坪でも十分なのか。それとも、もう少し広さが必要なのか。

そこを自分たちの暮らしから判断することが大切だと思っています。

家づくり全体の優先順位から整理したい方は、こちらの記事で7つのSTEPに分けてご紹介しています。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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