性能とコスト

ダクトレス第一種機械換気のメリット・デメリット|札幌の実体験

一級建築士|ドル

第一種換気と第三種換気を調べ始めると、

  • 熱交換
  • 電気代
  • 初期費用
  • メンテナンス
  • フィルター
  • ダクト
  • 換気効率

と、比較するものがどんどん増えていきます。

性能だけを見ると第一種換気がよさそうに見える。

一方で、第三種換気は仕組みがシンプルで、費用も抑えやすい。

私自身、自邸の換気計画ではかなり迷いました。

最終的に選んだのは、Panasonicの壁掛け熱交換気システム「IAQ-V」

いわゆるダクトレスの第一種換気です。

正直、そのまま壁に取り付けると結構目立ちます。

実際の写真がこちら。

最上段の左側に見えているのが熱交換器本体

せっかく空間にこだわっても、壁に大きな機械がドンと付くと一気に生活感が出てしまいますよね。

設計段階から配置や見せ方を工夫して「なるべく目立たないような位置」に計画しました。

この記事に書いていること
  • なぜ第一種換気を選んだのか
  • 第三種換気と最後まで迷ったポイント
  • 実際に使ってみたリアルなメリット・デメリット
  • 見た目問題をどう解決したか

これらを実体験ベースでまとめています。

これから家づくりをする方、とくに「一種か三種か」で迷っている方の判断材料の一つに、ぜひ最後までご覧くださいませ。

私的には、迷っているなら三種換気が良いと思っています。

一級建築士 ドル
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結論|第一種換気が正解とは思っていない

最初に結論をお伝えすると、

第一種換気と第三種換気のどちらが正解、という答えはないと思っています。

自邸では第一種換気を採用しました。

熱交換によって換気時の熱損失を抑えやすいことや、冬の給気の冷たさを和らげられることにはメリットを感じています。

一方で、

  • 初期費用がかかる
  • 機械そのものが大きい
  • 設置場所に制約がある
  • フィルター清掃が必要
  • 将来は機器交換も必要になる
  • 換気計画を理解しないまま採用すれば、性能を十分活かせない可能性がある

といった部分もあります。

第三種換気には、熱交換がない代わりに、仕組みがシンプルという大きな魅力があります。

私自身、もう一度家を建てるとしても、「絶対に第一種換気」とはならないと思います。

第三種換気も含めて、もう一度比較すると思います。

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第一種換気を採用した理由

当初私は第三種換気にしようと思っていましたが、最終的に私が選んだのは第一種換気です。

私が第一種換気を選んだ理由は、

「一種換気が普及してきたので、自邸で試してみよう」

ただそれだけです。

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設計者として、お客様へ提案する設備について、自分でも一度暮らしてみたいという気持ちがありました。

性能表だけでは、

  • 冬にどのくらい冷たく感じるのか
  • 運転音は気になるのか
  • メンテナンスは面倒なのか
  • 本体の大きさは生活の邪魔にならないのか

までは分かりません。

自邸だからこそ、少し実験的に採用してみることにしました。

第三種換気と迷ったポイント

一種換気はメリットと同じくらいデメリットも大きく感じており、シンプルな仕組みである第三種換気が良いと思っています。

三種換気は、

  • 排気は機械で行う
  • 給気は自然に取り入れる

という単純な構造なので、故障リスクが低い・空気の流れがイメージしやすい、という安心感があります。

性能が高い設備を入れることだけが、良い家づくりだとは思っていません。

長く使う設備だからこそ、「自分たちで付き合っていけるか」も大切だと思います。

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第一種換気にはダクト式とダクトレス式がある

第一種換気と言っても、じつは大きく2つの方式があります。

  • 家全体にダクトを巡らせる「ダクト式」
  • 必要箇所に機械を壁に付ける「ダクトレス式」

冒頭でご紹介した通り、我が家に付いているのはダクトレスタイプの壁掛け熱交換器システムです。

ダクトレスを選んだ理由

ダクト式には、住宅全体の換気を計画しやすく、機器を天井裏などへ納められるというメリットがあります。

ただその反面、ダクト式熱交換器のデメリットとしてよく話題に上がるのが、

「ダクト内部のカビ問題」

ダクト式熱交換の懸念事項

システムの構造上、換気ダクトや熱交換器に湿気や汚れが溜まりやすく、放置すればカビの発生源になります。

とくに冬場は、湿気を含む暖かい室内空気氷点下の屋外空気によって結露が発生しやすい状態になります。

フィルターや配管内部でカビが発生すると、室内空気に悪影響を及ぼす危険がある。

・・・と言われています。

自邸では、各部屋に機器が見える形で設置され、フィルターを自分で取り外して清掃できるダクトレス式の方が、私には扱いやすいと考えました。

ダクトの中まで自分で管理するのは難しそう。

それなら、目に見える場所を自分で掃除できる方が私には合っていると思いました。

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採用した機種の概要

自邸で採用したのがPanasonicの壁掛け熱交換気システム「IAQ-V(アイエーキューブ)」

実際に取り付けした写真がこちら。

意外と大きいですよね・・・

ダクトレスの一種換気は、2台が1セットになっていて約60〜90秒毎に給気と排気が入れ替わって換気するシステムになっているものもありますが、「IAQ-V」は一台で給気と排気が同時にできるタイプです。

これをLDK・寝室・趣味部屋に計4台設置しています。

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実際に使って感じたメリット

  • 冬の給気の冷たさを和らげやすい
  • メンテナンスが楽
  • 運転音が静か
  • 暖房負荷を抑える効果

これらのメリットを少し掘り下げます。

冬の給気の冷たさを和らげやすい

第三種換気と熱交換型の第一種換気の大きな違いの一つが、排気する室内空気の熱を利用できることです。

第三種換気では外気を給気口からそのまま取り入れますが、熱交換換気では、排気する空気の熱を利用して外気との温度差を小さくしてから室内へ取り入れます。

札幌の冬は外気温が氷点下になるため、この違いは大きいと感じています。

ただし、第一種換気だからといって「暖かい空気」が入ってくるわけではありません。

実際に我が家でも、給気口の近くや風が直接当たる場所では、「少し冷たいな」と感じることがあります。

それでも、外気をそのまま取り入れる第三種換気と比べれば、冷たさはかなり和らいでいると感じています。

使う前は、もっと室温に近い空気が入ってくると思っていました。

実際には「暖かい」というより、「外気の冷たさを和らげてくれる」という感覚です。

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メンテナンスが楽

ダクト式の一種換気はダクトの清掃に難ありですが、ダクトレス方式のため、

基本的なメンテナンスは、

  • 吸込フィルター清掃:3ヶ月に1回(メーカー推奨)
  • 給気正常フィルター清掃:1年に1回(メーカー推奨交換目安2年)

フィルターの取り出しも簡単で、掃除機で吸い取るだけなので、とても楽チンです。

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運転音が静か

私としては、ダクトレスの熱交換器の音が気になるところでした。

IAQ-VについてはPanasonic公式でも、

  • 20㎥/h用19dB
  • 30㎥/h用27dB

という静音性が示されています。

暖房負荷を抑える効果

第三種換気では、外気を給気口からそのまま取り入れるのに対し、熱交換換気では排気する室内空気の熱を利用して、外気をある程度暖めてから取り入れます。

そのため、札幌のように冬の外気温が低い地域では、換気による熱損失を抑える効果が期待できます。

我が家でも冬のガス代は比較的抑えられています。

ただし、これは第一種換気だけの効果ではありません。

延床約27坪という大きさ、断熱・気密性能、日射取得、温水セントラル暖房などを含めた結果だと考えています。

世帯人数や浴槽にお湯を張る頻度でも変わりますが、おおよそこんなイメージでした。

我が家の12月分のガス代が2.5万円。

我が家がコンパクトだから、というのもありますが、熱交換の効果も大きいと思います。

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実際の2025〜2026年冬のガス代については、こちらの記事で詳しく公開しています。

▶︎ 高性能住宅の暖房費は実際いくら?札幌・断熱等級6の自宅で冬のガス代を公開

実際に使って感じたデメリット

一方でデメリットがこちら。

  • 設置位置の制約
  • 本体が大きく、見た目に影響
  • 部屋ごとのバランス

設置位置の制約

当然ながら、外気に面する位置に取り付けする必要があります。

三種換気も給気口は外気に面する必要があるのですが、とにかくこの「IAQ-V」は大きいのがネックです。

  • 縦  28cm
  • 横  28cm
  • 奥行 16cm

騒音レベルを抑えるのに、この大きさになってしまうそうです。

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その結果、

  • 家具の配置
  • 窓やカーテンの取り合い
  • 視線に入りやすい

といった、生活に干渉することもあります。

ここに付けたいけど付けられない、といったことになりかねません。

ダクト式のように天井裏で隠せる設備ではないので、取り付け位置はしっかり検討が必要ですね。

本体が大きく、見た目に影響

ダクトレス第一種換気を使っていて、想像以上に気になったのが本体の大きさです。

IAQ-Vは壁に直接取り付ける設備なので、どうしても室内から見える位置に本体が出てきます。

自邸では、

  • 家具との取り合い
  • 窓やカーテンとの位置関係
  • 視線に入りやすいかどうか

まで考えながら設置位置を決めました。

間取りが完成してから、

「空いている壁に付ければいい」

という感覚では、少し難しい設備だと思います。

特に、リビングや寝室のように長く過ごす場所では、換気性能だけでなく、設備がどう見えるかまで含めて考えておいた方がよいと感じました。

性能は良くても、壁に大きな機械がドンと付くと、やっぱり存在感はあります。

自邸では、設計段階から「どう目立たなくするか」まで考えました。

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この見た目の問題を、自邸では下がり壁やルーバーを使いながら、できるだけ空間になじませるように工夫しました。

次に、実際にどのように隠したのかをご紹介します。

部屋ごとのバランス

今でも少し気になっているのが、家全体の空気の流れです。

ダクトレスは各部屋ごとに独立して換気を行う仕組みなので、裏を返すと「家全体でのバランスを取りにくい」という側面があります。

ダクト式であれば、1台の本体で全体をコントロールできますが、ダクトレスは基本的に“個別運転”です。

そのため私は、

「家全体として、空気がどのように動いているのか。」

を直感的にイメージしにくいと感じています。

それでいて「IAQ-V」は給気と排気が同時運転・・・

IAQ-Vを使っていて、

「本当に家全体の空気はきちんと入れ替わっているのかな。」

と感じることはあります。

これは性能が悪いという意味ではなく、私自身が空気の流れを直感的に把握しにくい、という感覚です。

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“見た目問題”をどう解決したか

この意外と大きな熱交換器の見た目問題、我が家はこのように対策しました。

  1. 隠れる位置につける
  2. 物理的に隠す
  3. 諦める

隠れる位置につける

LDK空間にある書斎コーナー、ここに換気扇本体があります。

それがココ・・・下がり壁部分です。

こもった書斎感を出すために計画した下がり壁。

これが存在感のある換気扇本体を隠すための下がり壁にもなっています。

物理的に隠す

ここにも換気扇がいます。

どこかと言いますと・・・

こちら。

ルーバーで隠していました。

こんな隠し方もあります。

諦める

  • 下がり壁付けるのは微妙・・・
  • ルーバーで隠すのも不自然・・・

どうにもできない場合もありますので、その時は諦めてそのまま付けるしかありません。

換気効率は落ちるかも|見た目と性能はトレードオフ?

先ほどご紹介したように、我が家では見た目を気にして隠したり、目立たなくしたりして、取り付けしてみました。

ダクトレス一種換気は、

  • 新鮮空気を直接取り入れる
  • 汚染空気を確実に排出する

シンプルで確実な空気の流れがあって性能を発揮します。

その前提を崩してしまうと、一種換気(熱交換)の性能を損なってしまうという本末転倒になりかねません。

見た目を優先しすぎると、本来の性能を損なう可能性があります。

自己判断・自己満足で、私はこうしました。

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まとめ|第一種換気を採用した私でも、第三種換気は十分ありだと思う

自邸では、Panasonicの壁掛け熱交換気システム「IAQ-V」を採用しました。

実際に暮らしてみて、

  • 冬の給気の冷たさを和らげやすい
  • フィルターへアクセスしやすい
  • 運転音が気になりにくい
  • 換気による熱損失を抑えやすい

といったメリットを感じています。

一方で、

  • 設置位置に制約がある
  • 本体が大きく、室内で目立つ
  • 家全体の空気の流れを直感的に把握しにくい
  • 初期費用や将来の機器交換も考える必要がある

といった点は、採用前に知っておいた方がよいと思います。

だから私は、第一種換気を採用したからといって、

「これから家を建てるなら第一種換気にした方がいい」

とは思っていません。

第一種換気には、熱交換によって快適性や省エネ性を高めやすいという良さがあります。

第三種換気には、仕組みが比較的シンプルで、設備費やメンテナンスの負担を抑えやすいという良さがあります。

どちらを選ぶかは、性能の優劣だけではなく、

「自分たちの暮らし方や予算、設備との付き合い方に合っているか。」

で考えるのがよいと思います。

私自身、もう一度家を建てるとしても、第一種換気と第三種換気をもう一度比較すると思います。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

第一種換気と第三種換気で迷ったときは、性能だけで決めず、

  • 初期費用をどこまでかけられるか
  • 冬の冷たい給気をどこまで気にするか
  • フィルター清掃を続けられそうか
  • 将来の機器交換をどう考えるか
  • 換気設備の見た目をどこまで気にするか
  • 自分でメンテナンスしやすい方式はどちらか

を考えてみてください。

第一種換気だから正解、第三種換気だから性能が低い、という単純な話ではありません。

大切なのは、

「自分たちが何を重視して、どこまで設備を管理していけるか。」

だと思っています。

私自身はダクトレス第一種換気を採用しましたが、もう一度選ぶとしても第三種換気を含めて迷うと思います。

それくらい、どちらにもメリットとデメリットがあります。

住宅性能だけでなく、土地・予算・間取り・設備まで含めて家づくり全体を整理したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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