性能とコスト

札幌・断熱等級6の家は冬いくらかかる?27坪の自邸でガス代と暖かさを公開

一級建築士|ドル

私が設計した自宅(断熱等級6・UA値0.28)では、一番請求額が高かった期間でも、暖房・給湯・ガス衣類乾燥機を含むガス代は25,102円でした。

この記事では、札幌の実際の住宅(自邸)をベースに冬の暖房費を公開します。

一級建築士 ドル
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札幌市に建てた断熱等級6・延床27坪の自邸
札幌市に建てた、延床約27坪・断熱等級6の自邸(AIで雪を積もらせました)

「断熱等級6の家なら、札幌の冬でも暖房費は安いのか。」

家づくりを考えていると、UA値や断熱等級といった性能の数字を見る機会は増えます。

ただ、家づくりを検討している方が実際に知りたいのは、

  • 冬にいくらかかるのか
  • どのくらい暖かく暮らせるのか
  • 高性能化にかけた費用に見合うのか

という、暮らしに近い部分ではないでしょうか。

私は2025年、札幌市に延床約27坪の自邸を設計しました。

暖房は都市ガスによる温水セントラル暖房で、冬の間は24時間運転しています。

室温は21〜22℃。

私はかなりの寒がりなので、寒さを我慢して節約するような使い方はしていません。

その条件で、一番請求額が高かった期間は36日間で25,102円でした。

この記事では、

  • 実際の冬のガス代
  • 自邸の住宅性能
  • 暖房費を抑えられた理由
  • 実際に暮らして感じる暖かさ
  • 高性能化にかけた費用と考え方

を順番にご紹介します。

※暖房・給湯・ガス衣類乾燥機を含む

まず結論|一番高かったガス代は36日間で25,102円

2025年12月17日から2026年1月21日までの36日間で、ガス代は25,102円でした。

30日換算では約20,900円です。

この金額には、

  • 温水セントラル暖房
  • 給湯
  • 入浴
  • ガス衣類乾燥機

が含まれています。

暖房だけの金額ではありません。

わが家では、温水セントラル暖房を24時間運転し、室温を21〜22℃に保っています。

ガス衣類乾燥機は週3回ほど使用し、入浴時には浴槽へお湯を張っています。

休日には、一日に2回以上お風呂に入ることもあります。

そのため、この金額は「かなり節約した結果」ではなく、普通に快適に暮らした結果です。

我が家の住宅スペック

  • 地域:札幌市
  • 延床面積:89㎡
  • 断熱等級:6(Ua値0.28W/㎡・K)
  • 一次エネルギー消費量等級:8(BEI=0.64)
  • 隙間相当面積:0.4cm²/㎡
  • 暖房方式:セントラル暖房(熱源:都市ガス)
  • 換気システム:第一種機械換気(全熱交換)
  • 家族構成:2人
  • 室温設定:21℃〜22℃

わが家はBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の評価書を取得しており、UA値や一次エネルギー消費量について第三者機関の評価を受けています。

また、完成後に気密測定を行い、C値は0.4㎠/㎡でした。

ただし、私は最初から「断熱等級6の家にしよう」と決めていたわけではありません。

札幌で冬も快適に暮らすために、断熱材の厚さ、窓、換気、暖房設備などを検討し、その仕様で計算した結果が断熱等級6・UA値0.28でした。

数字を先に目標にしたのではなく、暮らしに必要だと思う仕様を積み上げた結果です。

【2025〜2026年】札幌で実際にかかった冬のガス代

それでは、2025~2026年に実際にかかったガス代をご紹介します。

最も請求額が高かったのは、

2025年12月17日から2026年1月21日までの36日間で、25,102円でした。

ただし、検針期間は月によって27~36日と異なります。

単純に請求額だけを比較すると分かりにくいため、以下の表には実際の請求額に加えて、1日当たりの金額と30日換算額も掲載しています。

最も高かった期間のガス代を30日間に換算すると、約20,900円です。

わが家では温水セントラル暖房を24時間運転し、室温を21~22℃に保っています。暖房を我慢して節約した結果ではなく、家全体を暖かく保ちながら生活した場合の金額です。

なお、繰り返しになりますが、以下の金額には暖房だけでなく、給湯とガス衣類乾燥機の使用分も含まれています。

使用期間日数ガス使用量基本料金従量単価ガス代(税込)一日あたり
2025/12/17~2026/1/2136日210m34,337.3円98.88円25,102円約697円
2026/1/22~2/1929日177m34,337.3円80.7円18,621円約642円
2/20~3/1928日143m34,337.3円81.81円16,036円約573円
3/20~4/2032日119m34,337.3円95.75円15,731円約492円
4/21〜5/2232日76m33,364.9円114.28円12,050円約377円
5/23~6/1827日36m33,364.9円115.2円7,512円約278円
6/19〜7/2133日28m32,899.6円131.64円6,585円約200円

検針期間が最も長かった36日間の請求額は25,102円でしたが、30日換算では約20,900円です。

また、従量単価は月によって変動しています。

そのため、住宅の省エネ性能を比較する場合は、請求額だけでなく、ガスの使用量と検針日数も併せて確認する必要があります。

2025~2026年シーズンは、暖房を24時間運転しながら、このような結果となりました。

ただし、ガス代はその年の外気温、料金プラン、ガス単価、室温設定、入浴回数などによって変わります。

あくまで、札幌市に建つ延床27坪・夫婦2人暮らしの一例としてご覧ください。

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他の住宅と比べるとどうなのか

仕事柄、お施主様から冬の光熱費について伺う機会があります。

その範囲で比較すると、わが家の冬のガス代は比較的抑えられている印象です。

ただし、住宅の光熱費は、次の条件によって大きく変わります。

  • 延床面積
  • 世帯人数
  • 暖房方式
  • 暖房する時間
  • 設定室温
  • 入浴回数
  • 給湯の使用量
  • ガスや電気の料金プラン

わが家は延床約27坪と比較的コンパクトで、夫婦2人暮らしです。その点は、ガス代を抑えやすい条件といえます。

暖房は24時間運転し、室温を21~22℃に設定しています。

また、ガス衣類乾燥機を週3回ほど使用し、入浴時には浴槽へお湯を張っています。

私は無類の風呂好きで、休日は3回も入浴することがあります。

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単純に「断熱等級6ならこの金額になる」と考えることはできません。

この記事の数値は、同じような地域・床面積・家族構成・暖房方式の住宅を検討する際の参考値としてご覧いただければと思います。

実際に暮らして感じている暖かさ

ガス代以上に満足しているのが、冬の暮らしやすさです。

実際に暮らしていて、特に違いを感じるのは次のような場面です。

  • 冬の朝でも寒くて布団から出られないことがない
  • 廊下や水まわりを含め、部屋ごとの温度差が小さい
  • 脱衣室や浴室で寒さを感じにくい
  • 入浴後も暖かい室内でゆっくり過ごせる
  • 帰宅したときから家全体が暖かい

という部分です。

私はかなり寒がりなので、普段は22℃に設定しています。

妻が21℃に下げていて、帰宅した私がまた22℃に戻す。

冬はだいたいこの繰り返しです。

札幌では外気温がマイナス10℃を下回る日もあります。

それでも、家の中では寒さを強く意識することはほとんどありません。

私にとっては、暖房費が安いこと以上に、寒さを我慢せずに暮らせることの方が大きな価値です。

ここからは、設計者として考えた4つの理由をご紹介します。

暖房費を抑えられた4つの理由

わが家の暖房費が比較的抑えられた理由は、断熱等級6だから、という一言では説明できません。

大きくは次の4つです。

ガス使用量が抑えられた4つの理由
  1. 高断熱・高気密
  2. 冬の日射取得
  3. 日射を取り込む間取り
  4. 全熱交換型の第一種換気

それぞれ詳しくご紹介します。

理由①|UA値0.28・C値0.4の高断熱・高気密

我が家のUa値は0.28W/(㎡・K)です。

札幌版次世代住宅基準の上位レベルに相当する性能で、暖めた熱が外へ逃げにくくなっています。

冬の朝でも室温が大きく下がりにくく、暖房の運転時間や出力を抑えられることが暖房費削減につながっています。

札幌のような寒冷地では、室内外の温度差が大きくなるため、断熱性能が冬の暖房負荷に大きく影響します。

ただし、断熱材を厚くするだけでは十分ではありません。

建物に隙間が多いと、暖めた空気が外へ逃げたり、冷たい外気が室内へ入り込んだりします。

そのため、断熱性能と併せて気密性能を確保することが重要です。

わが家では完成後に気密測定を行い、C値は0.4㎠/㎡でした。

高断熱と高気密を組み合わせることで、暖房でつくった熱が外へ逃げにくく、室温が安定しやすい状態になっています。

その結果、24時間暖房でも必要以上に暖房出力を上げずに暮らすことができています。

理由②|坪庭から冬の日射を取り込む

暖房負荷を抑える上では、断熱性能だけでなく冬の日射をどのように室内へ取り込むかも重要です。

わが家の敷地は周囲を住宅に囲まれているため、一般的な南向きの大開口を設けるだけでは、十分な日射を取り込むことができませんでした。

そこで、建物の一部に坪庭を設け、冬の太陽光が室内まで届くように計画しました。

坪庭からの光の筋がお気に入り

晴れた日の日中は、窓から入る太陽の熱によって室温が上がります。

その分、暖房機器が補う熱を減らすことができます。

住宅に囲まれた土地ですが、坪庭のおかげでレースカーテンを閉めることなく生活しています。

日差しをしっかり取り込めるため、冬でも室内はとても明るく感じます。

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理由③|2階リビングで日射を活かす

わが家では、リビングを2階に配置しています。

リビングを2階に配置したことで、周囲の建物の影響を受けにくく、冬の日射を効率良く取り込めています。

また道路からの視線も気になりにくく、カーテンに頼らず開放的に暮らせることもメリットです。

南側に大きな窓を設けても、外からの視線が気になって一日中カーテンを閉めていれば、冬の日射熱を十分に活かすことはできません。

窓の大きさや性能だけでなく、

  • どの方向から日射が入るか
  • 周囲の建物によって影にならないか
  • カーテンを開けたまま暮らせるか

わが家では、2階リビングと坪庭を組み合わせることで、プライバシーを守りながら冬の日射を取り込めるようにしました。

断熱性能の数値を高めるだけではなく、その性能を間取りによって活かすことが、暖房負荷の軽減につながっています。

単に性能が高いだけでなく、設計で性能を活かしていることがポイントです。

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2階リビングにした理由や、実際に暮らして感じたメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の2階リビングは後悔する?一級建築士が自邸で暮らして分かったこと

理由④|全熱交換型の第一種換気

わが家では、全熱交換型の第一種機械換気を採用しています。

全熱交換器は、室内の暖かい空気を排出する際に、室内の「熱」と「湿気」を回収し、新鮮な外気に受け渡す換気システムです。

そのため、

  • 換気による熱損失を軽減できる
  • 冷たい外気がそのまま入るのを抑えられる
  • 暖房に必要な負荷を小さくしやすい

というメリットがあります。

暖房負荷の軽減という点では、第一種換気を採用した効果を感じています。

ただし、第一種換気には、機器代・電気代・フィルター清掃・将来の機器交換といった費用や手間もかかります。

そのため、すべての住宅で第一種換気が最適だとは考えていません。

住宅の断熱性能、地域、予算、メンテナンス性まで含め、第三種換気と比較したうえで選ぶ必要があります。

わが家で採用した換気設備については、次の記事で、実際に暮らして感じたメリットとデメリットを詳しくご紹介しています。

▶︎ ダクトレス第一種機械換気のメリット・デメリット|札幌の実体験

暖房費は性能だけでは決まらない

ここまでご紹介したように、我が家の暖房費が比較的抑えられている理由は一つではありません。

  • UA値0.28の断熱性能
  • C値0.4の気密性能
  • 坪庭からの冬の日射取得
  • 日射を活かす2階リビング
  • 全熱交換型の第一種換気
  • 温水セントラル暖房とエコジョーズ
  • 延床約27坪というコンパクトな床面積

これらを総合的に計画した結果だと考えています。

住宅性能の数値はもちろん重要です。

しかし、本当に快適で省エネな住まいをつくるためには、その土地の条件を読み取り、性能を最大限活かす設計が欠かせません。

これが、私自身が自宅を設計して暮らす中で改めて実感したことです。

高性能化は元が取れるのか

高性能住宅を考えるとき、

「追加した費用は暖房・光熱費で回収できるのか。」

という疑問を持つ方も多いと思います。

わが家では、断熱材、窓、換気、暖房・給湯設備など、高性能化に100万円を超える費用がかかっています。

仮に一般的な仕様と比べて、年間4万円の暖房費を抑えられたとすると、100万円を回収するには単純計算で25年です。

もちろん、実際にはここまで単純ではありません。

エネルギー価格も変わりますし、設備交換や修理もあります。

そのため私は、光熱費だけで「元が取れるか」を判断するのは難しいと考えています。

高性能化に価値を感じているのは、

  • 冬の朝も寒くない
  • 家のどこにいても寒さを意識しにくい
  • 水まわりとの温度差が小さい
  • 入浴後も暖かい

という、毎日の暮らしです。

暖房費の削減だけではなく、寒さを我慢しなくてよい時間にお金を使ったと考える方が、私の感覚には近いです。

断熱等級6だから正解、ではない

わが家は結果として断熱等級6になりました。

ただ、等級6だから正解だったとは考えていません。

性能は高いほど有利な部分があります。

一方で、住宅に使える予算には限りがあります。

断熱性能だけに予算を使えば、その分、

  • 土地
  • 間取り
  • 素材
  • 設備
  • 庭や外部空間

に使える金額は少なくなります。

だからこそ、自分たちがどのような暮らしをしたいのかを考え、そのために必要な性能を決めることが大切だと思っています。

住宅性能にどこまで予算を使うのかも、家づくり全体のバランスの中で考える必要があります。

限られた予算を、広さ・性能・素材・立地などにどう配分するかについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

▶︎ 同じ予算でもここまで変わる|家づくりのお金の使い方

まとめ|暖房費だけでは語れない高性能住宅の価値

札幌市に建てた延床約27坪の自邸では、2025年12月17日から2026年1月21日までの36日間で、ガス代は25,102円でした。

30日換算では約20,900円です。

この金額には暖房だけでなく、給湯とガス衣類乾燥機も含まれています。

わが家の暖房費を比較的抑えられたのは、断熱等級6という数値だけではありません。

高断熱・高気密、日射取得、2階リビング、換気、暖房方式、そして27坪という床面積を合わせて考えた結果です。

そして実際に暮らしてみて一番感じている価値は、暖房費そのものではありません。

寒さを我慢せずに暮らせること。

朝起きたときも、お風呂から上がったときも、帰宅したときも、寒さを強く意識しなくなりました。

性能値を見ることは大切です。

ただ、その数字の先にどのような暮らしがあるのかまで考えて、性能を選んでほしいと思います。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

高性能住宅を考えるときは、最初に「等級6か7か」を決めるのではなく、

  • 冬、家の中でどのくらい暖かく暮らしたいか
  • 水まわりの寒さをどこまで減らしたいか
  • 毎月の光熱費をどの程度にしたいか
  • 初期費用としてどこまで性能に使えるか
  • 性能以外にも大切にしたいものは何か

を考えてみてください。

そのうえで、

「自分たちの暮らしに必要な性能はどの程度なのか。」

を住宅会社や設計者と一緒に考えるのがよいと思います。

性能を高くすること自体が目的ではありません。

その性能によって、どんな冬を過ごせるのか。

そこまで考えて選ぶことが大切だと思っています。

断熱性能だけでなく、土地・予算・間取り・住宅会社選びまで含めて家づくり全体を整理したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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