高性能住宅の暖房費は実際いくら?札幌・断熱等級6の自宅で冬のガス代を公開【2025-2026】
私が設計した自宅(断熱等級6・UA値0.27)では、一番寒い1月でも暖房費は約2.5万円でした。
この記事では、札幌の実際の住宅(自邸)をベースに冬の暖房費を公開します。

「高性能住宅って本当に暖房費が安いの?」
ハウスメーカー・工務店のホームページを見ると、
- 断熱材の種類・断熱材の厚さ
- 断熱等性能等級
- 一次エネルギー消費量等級
といった性能をアピールしていることは多いですが、実際に毎月いくら暖房費にどのような違いが出てくるのかまで公開する会社は多くありません。
家づくりを考える立場として本当に知りたいのは、
「この性能なら冬の暖房費はいくらくらいなのか」
という、実際の暮らしに直結する情報ではないでしょうか。
そこでこの記事では、私が設計した札幌市の自宅を例に、2025〜2026年シーズンの暖房費を実際のガス使用量とともに公開します。
さらにこの記事では、
- 高性能住宅でも暖房費に差が出る理由
- 設計によって暖房費が変わるポイント
- 高性能住宅は本当に元が取れるのか
についても、設計者として、そして実際に住んでいる立場から詳しく解説します。
カタログスペックでは分からない「リアルな暮らし」を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

- 断熱等級6のリアルな暖房費
- 札幌の冬にかかった実際のガス代
- 暖房費を抑えられた理由
- 高性能住宅は元が取れるのか
- 高性能住宅のメリット・デメリット
まず先に、性能をお話しする上で重要な二つの指標、
- 断熱等性能等級
- 一次エネルギー消費量等級
についてお話しますが、興味ない方は飛ばしてください。
断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級とは?
暖房費をご紹介する前に、「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」について簡単にご説明します。
どちらも住宅性能を表す指標ですが、それぞれ役割が異なります。
断熱等性能等級とは
断熱等性能等級(以下、「断熱等級」)は、2022年に新設された高い断熱性能を示す基準です。
断熱等性能等級・・・
屋根・外壁・床(基礎)・窓を通して熱の損失を防止する性能
断熱性能が高い住宅ほど、冬は暖かい空気が外へ逃げにくく、夏は外の暑さが室内へ伝わりにくくなります。
その結果、冷暖房に必要なエネルギーが少なくなり、光熱費を抑えやすくなります。
断熱性能を表す代表的な数値が「UA値(外皮平均熱貫流率)」です。
UA値は数値が小さいほど断熱性能が高く、暖房費を抑えやすい住宅といえます。
札幌のような寒冷地では、このUA値が快適性や暖房費に大きく影響します。
現在の最高等級は断熱等級7ですが、我が家ではコストと性能のバランスを考え断熱等級6を選びました。
性能は大切ですが、費用対効果も考えて決めることが重要だと思っています。

一次エネルギー消費量等級とは
一次エネルギー消費量等級とは、住宅全体で使用するエネルギーをどれだけ削減できるかを示す性能で、評価の対象となるのは、
- 冷暖房
- 換気
- 給湯
- 照明
などの住宅設備全体です。
「断熱性能」だけではなく、住宅全体の省エネ性能を評価した指標です。
断熱等性能等級は快適性を、
一次エネルギー消費量等級は燃費を表す指標です。

- 「一次エネルギー」と「二次エネルギー」の違い
-
一次エネルギー:石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料、水力・風力・太陽光などの非化石燃料で、加工前のエネルギー源
二次エネルギー:一次エネルギーを加工して作られる電気・ガス・灯油
私たちが普段使っているエネルギーは「二次エネルギー」です。

この2つの性能が高いと暖房費は安くなる?
この二つの性能が良いほど、、、
- 暖房費が下がる
- 室温が安定する
- 光熱費のブレが小さくなる
「快適性」と「経済性(燃費/省エネ)」を両立しやすい住宅になり、結論から言えば暖房費を抑えやすくなります。
ただし、「断熱等級6だから暖房費が○円になる」という単純な話ではありません。
実際には、
- 窓の配置
- 日射取得
- 建物の形
- 気密性能
- 換気方式
- 暖房設備
など、多くの要素が組み合わさって暖房費が決まります。
そのため、同じ断熱等級でも住宅会社や設計によって光熱費には大きな差が生まれます。
我が家でも、単に断熱性能を高めただけではなく、「性能を活かす設計」を意識しました。
次に、その住宅スペックと、実際にかかった暖房費をご紹介します。
我が家の住宅スペック
- 地域:札幌市
- 延床面積:89㎡
- 断熱等級:6(Ua値0.28W/㎡・K)
- 一次エネルギー消費量等級:8(BEI=0.64)
- 隙間相当面積:0.4cm²/㎡
- 暖房方式:セントラル暖房(熱源:都市ガス)
- 換気システム:第一種機械換気(全熱交換)
- 家族構成:2人
- 室温設定:21℃〜22℃
- 私:極度の寒がり
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の評価書も取得しており、第三者機関による評価を受けています。


この条件でのリアルな暖房費を見ていきます。
我が家はガス乾燥機も設置していて、週に3回ほどの利用頻度です。
そのため、これからご紹介するガス代には暖房だけではなく、乾燥機で使用したガス代も含まれています。

我が家で使っている第一種機械換気(全熱交換器)についての記事はこちらで詳しく紹介しています。
【2025年〜2026年】札幌で実際にかかった暖房費
それでは、実際の暖房費をご紹介します。
結論から言うと、一番寒い1月でも約2.5万円、その後は毎月2万円以下で推移しました。
我が家はセントラルヒーティングですので暖房は24時間運転しています。
室温を21〜22℃に保ちながら、この金額で過ごすことができました。
参考までにガス使用量・ガス単価も掲載します。
| 使用期間 | 日数 | ガス使用量 | 基本料金 | 単価 | ガス代(税込) |
| 2025/12/17~2026/1/21 | 36日 | 210m3 | 4,337.3円 | 98.88円 | 25,102円 |
| 2026/1/22~2/19 | 29日 | 177m3 | 4,337.3円 | 80.7円 | 18,621円 |
| 2/20~3/19 | 28日 | 143m3 | 4,337.3円 | 81.81円 | 16,036円 |
| 3/20~4/20 | 32日 | 119m3 | 4,337.3円 | 95.75円 | 15,731円 |
| 4/21〜5/22 | 32日 | 76m3 | 3,364.9円 | 114.28円 | 12,050円 |
| 5/23~6/18 | 27日 | 36m3 | 3,364.9円 | 115.2円 | 7,512円 |
| 6/19〜7/21 | 33日 | 28m3 | 2,899.6円 | 131.64円 | 6,585円 |
もちろん、その年の気温やガス単価によって多少の違いはありますが、2025〜2026年シーズンはこのような結果となりました。
他の住宅と比べるとどうなのか
仕事柄、多くのお施主様から冬の光熱費を聞く機会がありますが、比較すると我が家は毎月8,000円ほど暖房費がお安い印象です。
もちろん住宅の広さや家族構成、浴槽に浸かる頻度で異なるので単純比較はできません。
- 延床面積約27坪(比較的コンパクト)
- 第一種換気(全熱交換)
- 夫婦二人暮らし
これらの条件が組み合わさって、暖房費を抑えることができたと考えています。
ただし、私は極度の寒がりなのと、無類のお風呂好きで休日は浴槽に2回お湯を張ることがありますので、ガスの使用量は多めな方と思います。
体感としての快適性
暖房費以上に満足しているのが毎日の暮らしやすさです。
セントラルヒーティング(24時間暖房)ということもあり、今は寒さを意識する場面そのものがほとんどありません。
- 朝起きても寒くない
- 部屋ごとの温度差が小さい
- お風呂のお湯が冷めにくい
- 風呂上がりが寒くない
私はかなり寒がりなので22℃設定にしています。
ただ、私が仕事で家を空けている間に、妻が21℃へ下げていることがあります(笑)。
帰宅して気付いたら、また22℃へ戻すのが我が家の定番です。

厳寒期には外気温が−10℃を下回る日もあります。
それでも家全体が暖かく保たれているため、「暖房を我慢して節約している」という感覚はありません。
快適に暮らした結果としてこの暖房費に収まっている。
これが、高性能住宅に住んで感じている一番大きなメリットです。
では、なぜここまで暖房費を抑えられたのか・・・
設計者として考えた「暖房費を抑える4つのポイント」を詳しくご紹介します。
なぜここまで暖房費が抑えられるのか(設計のポイント)
「断熱等級6だから暖房費が安い。」
もちろんそれも理由の一つですが、それだけではありません。
暖房費が抑えられる理由①|高断熱・高気密
我が家のUa値は0.28W/(㎡・K)です。
札幌版次世代住宅基準の上位レベルに相当する性能で、暖めた熱が外へ逃げにくくなっています。
冬の朝でも室温が大きく下がりにくく、暖房の運転時間や出力を抑えられることが暖房費削減につながっています。
BELSを取得しており、我が家のUa値は0.28でした。

断熱材を厚くしても、家に隙間が多ければ暖かい空気は逃げてしまいます。
それと、我が家のC値は0.4㎠/㎡でした。


計画した通りに換気が行われ、断熱性能を十分に発揮できる状態です。
暖房費が抑えられる理由②|冬の日射取得
我が家は周囲を住宅に囲まれていますが、坪庭を設けることで冬の日射を室内に取り込めるように計画しました。
日中は太陽の熱で室温が上がるため、その分暖房負荷を軽減できます。
住宅に囲まれた土地ですが、坪庭のおかげでレースカーテンを閉めることなく生活しています。
日差しをしっかり取り込めるため、冬でも室内はとても明るく感じます。

暖房費が抑えられる理由③|間取り(設計)
リビングを2階に配置したことで、周囲の建物の影響を受けにくく、冬の日射を効率良く取り込めています。
また道路からの視線も気になりにくく、カーテンに頼らず開放的に暮らせることもメリットです。

カーテンを閉めないので、日射取得が取り込みやすいというのも、この間取りがあってのことと思います。
暖房費だけでなく、暮らしやすさにもつながっています。
単に性能が高いだけでなく、設計で性能を活かしていることがポイントです。

暖房費が抑えられる理由④|第一種換気(全熱交換)
全熱交換器は、室内の暖かい空気を排出する際に、室内の「熱」と「湿気」を回収し、新鮮な外気に受け渡す換気システムです。
そのため、
- 換気による熱損失を抑えられる
- 暖房負荷を軽減できる
- 冬でも乾燥しにくい
というメリットがあります。
換気による熱損失を抑えられるため、暖房費の削減にも効果があります。
暖房費の観点からは一種換気を選んで良かったですが、
個人的には三種換気が良いかな、という感じです。
住宅に「絶対の正解」はなく、それぞれの暮らし方に合った設備を選ぶことが大切だと思います。

我が家で採用した、Panasonicの「IAQ-V(アイエーキューブ)」について、こちらの記事で詳しく紹介しています。
暖房費は「住宅性能」だけでは決まらない
ここまでご紹介したように、我が家の暖房費が比較的抑えられている理由は一つではありません。
- 高断熱・高気密
- 日射取得
- 設計
- 第一種換気
- 暖房設備
これらを総合的に計画した結果だと考えています。
住宅性能の数値はもちろん重要です。
しかし、本当に快適で省エネな住まいをつくるためには、その土地の条件を読み取り、性能を最大限活かす設計が欠かせません。
これが、私自身が自宅を設計して暮らす中で改めて実感したことです。
高性能住宅のデメリットと注意点
ここまで高性能住宅のメリットをご紹介してきましたが、もちろん良いことばかりではありません。
実際に住んで感じたデメリットや、家づくりを検討する上で知っておいていただきたいポイントもお伝えします。
デメリット①初期費用は確実に高くなる
断熱等級6や一次エネルギー消費量等級8を目指すためには、
- 断熱材の性能向上
- 高性能な窓(トリプルガラス)
- 高効率な設備機器
- 熱交換型換気システム
など、住宅の仕様をグレードアップする必要があります。
そのため、一般的な住宅と比べると建築費は高くなります。
我が家でもこれらにかかった費用は100万円を超えています。
建築費は確かに上がります。
ただ、それ以上に毎日の快適さを実感しているので、「やって良かった」というのが率直な感想です。

デメリット②設計によって差が出る
同じ断熱等級6でも、窓の配置や間取りによって暖房費は大きく変わります。
冬の日射を取り込める南側に大きな窓を設けると、太陽の熱を活用できるため暖房費は削減につながります。
一方で、北側に大きな窓を設ける場合は日射取得が期待できず、暖房費の面では不利になることがあります。
もちろん住宅は光熱費だけで考えるものではありません。
立地によっては北側の景色が魅力的な場合もありますし、私自身も眺望が良ければ性能より優先すると思います。
大切なのは、性能・眺望・プライバシーなどを総合的に考えて設計することです。

デメリット③暖房方式の選択が重要
暖房費は断熱性能だけで決まるわけではありません。
我が家では、
- 高断熱・高気密
- 日射取得
- 第一種換気
- 温水セントラルヒーティング
- エコジョーズ
これらを組み合わせて計画しています。
どれか一つだけ性能を高めれば良いというわけではなく、住宅全体のバランスを考えることが大切です。
高性能住宅は本当に元が取れるのか?
結論としては暖房費だけで初期コストを回収するのは簡単ではありません。
断熱等級6・一次エネルギー消費量等級8にするために、我が家では100万円を超える費用がかかっています。
仮に年間の暖房費を4万円程度抑えられたとしても、単純計算では回収まで30年近くかかることになります。
そのため、「光熱費だけで元を取る」という考え方だけでは、高性能住宅の価値は測れません。
私自身が価値を感じているのは、
- 朝起きても寒くない
- 部屋ごとの温度差が少ない
- お風呂上がりも快適に過ごせる
- 将来的なエネルギー価格の上昇に備えられる
こうした毎日の暮らしの質です。
数字には表れない快適さこそ、高性能住宅の大きな魅力だと感じています。
まとめ|暖房費だけでは語れない高性能住宅の価値
今回、2025〜2026年シーズンの暖房費を公開しました。
結果として、最も寒い1月でも約2.5万円、その後は毎月2万円以下で推移しました。
もちろん、この結果は断熱等級6という性能だけで実現したものではありません。
高断熱・高気密に加え、
- 日射取得
- 間取り
- 換気計画
- 暖房設備
これらを総合的に考えた設計によるものだと考えています。
そして実際に住んでみて感じるのは、
暖房費以上に、「寒さを気にしない暮らし」が毎日の大きな価値になっているということです。
アパートに住んでいた頃は、お風呂上がりにすぐ体が冷えてしまい、ついお風呂に入るのが面倒になることもありました。
今では冬でも寒さを気にせず快適に過ごせています。
毎日のことだからこそ、この違いは想像以上に大きいと感じています。

これから家づくりを検討している方は、単純なコスト比較だけでなく「暮らしの質」も含めて判断することをおすすめします。
高性能住宅を検討している方へ
断熱等級や設備の性能はもちろん大切ですが、それだけで暖かく省エネな家になるわけではありません。
同じ断熱等級6の住宅でも、窓の配置や日射の取り入れ方・間取り・換気計画・暖房設備の選び方によって、実際の快適性や光熱費には大きな差が生まれます。
私自身、自宅を設計する中で「性能を高めること」だけではなく、「どのように性能を活かすか」が重要だと実感しました。
これから家づくりを検討される方は、断熱等級やUA値といった数値だけでなく、その土地に合わせた設計や暮らし方まで含めて考えてみてください。
もし、
- 自分たちに必要な断熱性能はどの程度なのか
- 断熱等級6と7のどちらを選ぶべきか
- 暖房費を抑えるためには何を重視すべきか
- 土地に合わせてどのような間取りが良いのか
など気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
設計者としてだけでなく、実際に高性能住宅で暮らしている経験も交えながら、一人ひとりに合った家づくりをご提案いたします。






