性能とコスト

グラスウールはやめた方がいい?一級建築士が自邸でも採用した理由

一級建築士|ドル

私は100棟以上の住宅づくりに携わり、自分自身でも家を設計・建築しました。

その自邸でも、壁の断熱材には高性能グラスウールを採用しています。

一級建築士 ドル
一級建築士 ドル

家づくりを調べていると、

  • グラスウールはやめた方がいい
  • 吹付断熱の方が性能が高い
  • グラスウールはカビる
  • グラスウールが沈下する

このような情報を目にすることがあります。

こうした情報を見ると、

「グラスウールって、本当に使って大丈夫なの?」

と不安になる方もいると思います。

私が自邸を設計するとき、断熱材選びで迷うことはありませんでした。

壁には高性能グラスウールを採用しています。

その理由は、私自身が、

グラスウールが最もバランスの良い断熱材だと思っている

からです。

この記事では、

  • なぜ自邸でもグラスウールを選んだのか
  • コストパフォーマンスをどう考えたのか
  • 「グラスウールはやめた方がいい」と言われる理由
  • 施工で気を付けたいこと
  • 実際に暮らしてどう感じているのか

について、一級建築士として住宅づくりに携わってきた経験と、自邸で暮らしている実感の両方からお話しします。

私がグラスウールを選ぶ理由

私も住宅づくりに携わり始めた頃は、断熱材の違いについて今ほど深く考えていませんでした。

ですが、実際に設計や現場を経験し、自分でも調べていくうちに、

グラスウールは、必要な性能を確保しながらコストとのバランスを取りやすい断熱材

と考えるようになりました。

その考えは、自邸を設計したときも変わりませんでした。

結果として、壁に断熱材には高性能グラスウールを採用しています。

一番の理由はコストパフォーマンス

私がグラスウールを選ぶ一番の理由は、コストパフォーマンスです。

ただし「安いから選んだ」という意味ではありません。

必要な断熱性能を十分に確保しながら、他の部分へ予算を使えることに価値があると考えています。

グラスウールは他の断熱材と比べ、価格は大きく抑えることができると思っています。

最近は熱伝導率の低い断熱材も数多くあります。

熱伝導率だけを比較して「性能が高い断熱材ほど良い」という印象を持たれることも少なくありません。

もちろん、それらには優れた特徴があります。

熱伝導率は、数値が低いほど、断熱性能が高いことを意味します。
同じ断熱材の厚みで比較すると、数値が低いほど高性能ということです。

ですが、住宅の断熱性能は熱伝導率だけで決まるものではありません。

厚みや施工方法を含めて考える必要があります。

例えば、熱伝導率の低い断熱材を薄く施工した場合と、グラスウールを厚く施工した場合では、同程度の断熱性能になるケースもあります。

その場合、高価な断熱材を使うことで増えた費用に見合うだけの価値が、本当にあるのかを私は考えます。

限られた予算だからこそ、どこに使うかを考える

例えば、断熱材を変更することで50万円建築費が上がるとします。

もちろん、その50万円を断熱性能に使う考え方もあります。

一方で違う考え方もあります。

  • 無垢フローリング
  • 造作建具
  • お風呂
  • キッチン
  • 外部空間

こうした生活の質を高めるところに費用を使うという考え方です。

無垢フローリングは毎日素足で触れるものですし、造作建具は毎日目にし何度も手に触れるものです。

こうした部分は、暮らしの満足度を長く高めてくれます。

もちろん、人によって優先順位は違います。

食洗機やガス乾燥機を付けたい方、お風呂やキッチンの仕様を良くしたい方もいるでしょう。

だからこそ私は、断熱材だけに予算を集中させるより、自分たちの暮らしを豊かにする部分へ予算を回した方が、満足度の高い家になると考えています。

木造住宅で使いやすいと感じている

私がグラスウールを選ぶ理由は、もう一つあります。

それは、木造住宅との相性です。

木造住宅は引き渡した瞬間が完成ではありません。

柱や梁は年月とともに乾燥し、少しずつ収縮していきます。

もし木材の動きによって断熱材との間に隙間ができれば、その部分は断熱欠損となり、住宅全体の断熱性能の低下につながります。

グラスウールは繊維状で柔軟性があるため、木材の乾燥収縮に追従しやすいという特徴があります。

私は、この性質も木造住宅では大きなメリットだと考えています。

「グラスウールはやめた方がいい」と言われる理由

それでは、なぜ「グラスウールはやめた方がいい」と言われるのでしょうか。

私が現場で感じているのは、グラスウールそのものではなく、施工が原因になっているケースが多いと感じています。

断熱材に隙間があったり、防湿施工や気密施工が適切に行われていなかったりすると、本来の性能を十分に発揮できません。

その結果、

  • グラスウールがカビる
  • グラスウールは性能が悪い

という印象につながってしまうことがあります。

私は100棟以上の住宅づくりに携わってきましたが、「グラスウールだから失敗した」という現場を経験したことはありません。

私が見てきた中では、「グラスウールという材料が悪かった」というより、

「施工の仕方をきちんと考えることが大切」という印象の方が強いです。

一級建築士 ドル
一級建築士 ドル

どの断熱材であっても、その性能をきちんと発揮できる施工が重要だと感じています。

実際に住んで感じたこと

現在、私はグラスウールを採用した自宅で暮らしています。

率直な感想は、

「グラスウールで十分だった」

ということです。

北海道の冬でも暖かさに不満を感じたことはありません。

妻もアパート暮らしとの違いに驚き、快適に暮らしています。

来客からも「暖かい家ですね」と言われることが多く、中には高性能住宅に住んでいる方からそう言われることもあります。

もちろん、これは断熱材だけのおかげではありません。

設計や窓、暖房計画など、住宅全体のバランスがあってこその住み心地だと感じています。

実際の冬の暖房費や住み心地については、こちらの記事で詳しく公開しています。

▶︎ 高性能住宅の暖房費は実際いくら?札幌・断熱等級6の自宅で冬のガス代を公開

今もう一度建ててもグラスウールを選ぶ

もし今、もう一度自邸を建てるとしても、私は壁の断熱材に高性能グラスウールを選ぶと思います。

理由はシンプルです。

今の暮らしで十分な暖かさを感じていて、そのうえでコストとのバランスにも納得しているからです。

もちろん、もっと熱伝導率の低い断熱材を使う選択肢もあります。

ただ、そのために建築費が上がるのであれば、

「その差額をどこへ使うのが、自分たちの暮らしにとって一番価値があるのか。」

をもう一度考えると思います。

性能を上げることが目的ではありません。

限られた予算で、

どんな家にすると、自分たちが一番心地よく暮らせるのか。

そこから考えた結果、私にとってはグラスウールがちょうどよい選択でした。

まとめ|断熱材の名前だけで良し悪しを決めない

グラスウールには、

  • コストとのバランスを取りやすい
  • 必要な厚さを確保すれば高い断熱性能をつくれる
  • 木造住宅で広く使われている

といった特徴があります。

一方で、施工状態によって性能に影響が出るため、丁寧な施工が重要です。

だから私は、

「グラスウールだから良い」
「グラスウールだから悪い」

という見方はしていません。

断熱材そのものの性能だけではなく、

  • どのくらいの厚さを入れるのか
  • どのように施工するのか
  • 窓や気密まで含めてどう考えるのか
  • その性能にいくら予算を使うのか

まで含めて考えることが大切だと思っています。

自邸では、そのバランスを考えた結果、高性能グラスウールを選びました。

そして実際に暮らした今も、その選択に不満はありません。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

断熱材を選ぶときは、

「どの商品が一番高性能なのか。」

だけではなく、

  • 自分たちの地域ではどの程度の断熱性能が必要なのか
  • その断熱材をどのくらいの厚さで施工するのか
  • 施工品質をどのように確認するのか
  • 窓や気密まで含めて考えられているか
  • 断熱材へ追加する予算を、ほかに使いたい場所はないか

も考えてみてください。

そして住宅会社には、

「この断熱材を使っています」だけではなく、「なぜこの仕様にしているのですか?」

と聞いてみるとよいと思います。

断熱材の商品名ではなく、その仕様を選んだ理由まで分かると、自分たちに合った住宅かどうかを判断しやすくなります。

土地・予算・間取り・性能を含めて、家づくり全体の考え方を順番に整理した記事はこちらです。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

家づくりの悩み

LINEで気軽にご相談ください

土地や間取り、家の広さ、住宅性能など、
「自分の場合はどうなんだろう?」という疑問に、一級建築士の視点からお答えします。

家づくりについて調べているけれど、

「この土地にどんな家が建つ?」
「広さはどのくらい必要?」

そんな、ちょっとした疑問でも大丈夫です。

LINEでご相談いただく場合

【STEP 1】 LINEを友だち追加
【STEP 2】 一言メッセージを送る
(「相談希望」など、簡単なメッセージでOKです)
【STEP 3】 私からLINEで返信します

家づくりのことで、
「ちょっと聞いてみたい」と思ったことがあれば、お気軽にご相談ください。

一級建築士|ドル
一級建築士|ドル
Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
プロフィールを読む
記事URLをコピーしました