断熱等級7でも快適とは限らない?一級建築士の夫に聞いた、性能の数字だけでは分からないこと
最近は「GX志向型住宅」や「断熱等級6・7」など、住宅の断熱性能に関する言葉をよく見かけるようになりました。
わが家もGX志向型住宅の補助金を利用して家を建てました。
それまで断熱等級なんて言葉すら知らなかった私ですが、補助金のことをキッカケに、住宅の性能について少しずつ知るようになりました。

断熱等級って性能によって、下は等級1から上は等級7まであるんだね。
うちは等級6だけど、最初からそこを目指してたの?(。・-・。)?
わが家は、敷地・延床面積ともに約27坪の小さな家です。
設計したのは一級建築士の夫。
わが家を性能値でいうと断熱等級6ですが、夫は最初から等級6を目指して設計したわけではないそうです。
必要だと思う断熱材の種類や厚みを決めて、計算した結果が等級6だったんだ。
ほかの条件も満たせたから、GX志向型住宅の補助金も利用できたんだよ。


でも、どうせなら一番性能の高い等級7にした方がいいんじゃないの?( ˙꒳˙ )
等級7にすることもできるけど、そこまでの費用対効果を感じなかったんだよね。

私は数字が高い方が良いと思っていましたが、夫は少し違う考え方のようです。
夫はこれまで、住宅の営業・設計・施工管理を経験し、100棟以上の住宅づくりに携わってきました。
そんな夫が考えているのは、断熱等級が高いことと、実際に快適に暮らせることは必ずしも同じではないということ。
この記事では、断熱等級で分かること、数字だけでは分からないこと、設計や施工で考えたいことについて紹介します。
断熱等級とは?数字が高いほど暖かい家になるの?
断熱等級は、住宅の断熱性能を評価するための指標です。
等級は1〜7に分かれていて、数字が高いほど高い断熱性能の基準を満たしています。
断熱等級の評価では、壁・屋根・床・窓など、建物の外側を構成する部分の断熱性能を計算します。

例えば、
- 断熱材の種類と厚み
- 窓や玄関ドアの断熱性能
- 建物の形状や外皮面積
- 窓の大きさや方位
などが関係します。
こうした条件をもとに、Ua値(外皮平均熱貫流率)などを計算します。
例えば札幌などの地域区分2では、断熱等級6のUa値の基準は0.28以下、等級7は0.20以下です。
つまり、等級7の方がより熱を逃がしにくい外皮性能を求められるわけです。
ただし、この計算結果だけで実際の住み心地まで分かるわけではありません。
設計どおりにつくられることが前提の数値だからね。
実際にどんな施工がされるのか、暖房や換気をどう計画しているのかまでは、等級だけでは分からないんだよ。

確かに、同じ性能の断熱材を使っていても、家のつくり方や暖房の使い方によって住み心地は変わりそうですよね。
快適な家は、断熱性能だけで決まるわけではない
冬は暖かく、夏は涼しく過ごしたい。
できれば光熱費も抑えたいですよね。
でも断熱等級を高くするだけで、すべてが解決するわけではないそうです。
夫が住宅の快適性を考えるときには、断熱以外にもいろいろなことを検討しています。
- 気密性能
- 窓の位置と大きさ
- 冬の日射取得
- 夏の日射遮蔽
- 換気計画
- 暖房・冷房計画
- 間取りや部屋の配置
例えば、冬に日差しを室内へ取り込むことができれば、太陽の熱を利用して暖房負荷を減らせる場合があります。
一方で、夏に強い西日が入る窓があると、室内が暑くなりやすくなります。
冬は日差しを取り込みたいけど、夏は強い日差しを遮りたいよね。
断熱性能が高くても、窓の計画によって室内の環境は変わるんだよ。

窓は光を取り込むためのものだと思っていましたが、室内の温度にも関係しているんですね。
自邸で採用した具体的な断熱仕様については、こちらの記事で紹介しています。
日当たりの良い家と、明るい家は同じではない?

わが家の土地は南側に高い建物があります。
そのため日当たりに恵まれた土地というわけではありません。
夫は、そんな敷地でも室内が明るくなるように2階リビングや窓の配置を考えました。
冬の日射熱を取り込むことも考えたけど、暖房費を抑えることより、室内の明るさを優先したんだ。

少しややこしいのが、「採光」と「日射取得」の違いです。
採光は、室内に自然の光を取り入れて明るくすること。
一方、日射取得は太陽の熱を室内に取り込むことです。
光を取り込む窓でも、方位や周囲の建物、季節によって得られる日射熱は変わります。
つまり、明るい家だからといって、冬の太陽熱を十分に取り込めるとは限らないんですね。
断熱等級7を目指すと、ほかの予算が減ることもある
もう一つ夫が考えているのが、予算とのバランスです。
断熱等級7を目指すとなると、断熱材の厚みを増やしたり、窓の仕様を変更したりと、建築費が上がる場合があります。
自邸の仕様で等級7を目指そうとすると、断熱材や窓の性能をさらに上げる必要があったんだ。
そこまで費用をかけるほどのメリットは感じなかったんだよね。

住宅には使える予算があります。
断熱性能をさらに高める費用があれば、
- 間取りや収納を充実させる
- キッチンやお風呂にこだわる
- 庭などの外部空間をつくる
- 家具や家電に予算を残す
といった選択肢もあります。
わが家でも、断熱性能だけでなく、無垢フローリングや造作建具、坪庭などにこだわりました。
こうした部分は暮らしに関わる大きな部分です。

断熱性能も気になりますが、キッチンやお風呂にもこだわりたいですし。
家づくりって、お金をかけたいところがたくさんありますよね。(。・ω・。)
断熱等級が高くても、施工が悪ければ性能を発揮できない
ここは夫が特に気にしているところです。
どれだけ高い断熱性能で設計しても、実際の現場で適切に施工されなければ、想定した性能を十分に発揮できない場合があります。
例えば、
- 断熱材に隙間がないか
- 気流止めや気密処理が適切か
- 防湿層が連続しているか
- 窓まわりの施工に問題がないか
といった部分です。
完成してしまうと見えなくなるところも多いですよね。
設計図で高い性能を確保していても、それを現場できちんとつくれなければ意味がないんだ。
だから、どう施工して、どう確認しているかが大事なんだよ。

夫は住宅の設計だけでなく、施工管理も経験しています。
100棟以上の住宅づくりに携わってきた中で、設計したものを現場でどう実現するかということを考えてきました。
実際、断熱材にはいろいろな種類がありますが、材料ごとに適切な施工方法があります。
わが家では、壁の断熱材に高性能グラスウールを採用しました。
グラスウールについては「カビる」「沈下する」などの話もありますが、夫は材料そのものが悪いとは考えていません。
その理由や施工上の注意点については、こちらの記事で紹介しています。
住宅会社には、断熱等級以外に何を聞けばいい?

でも断熱等級以外にもいろいろ確認した方がいいと言われても、何を聞けばいいのか分からないですよね。
住宅会社のホームページには「断熱等級7対応」「高断熱・高気密住宅」など、性能についての説明がたくさんあります。
断熱等級やUa値は、住宅会社を比較するときの参考になります。
でも、どうしてその仕様にしているのかまで聞いてみると、住宅会社の考え方も見えてきそうです。
例えば、こんな質問です。
- 「どうしてこの断熱仕様を採用しているのですか?」
- 「窓の位置や日射についても考えて設計してもらえますか?」
- 「断熱材や気密の施工は、どのように確認していますか?」
数字だけでは分からないこともあるからね。
どういう考えで設計して、現場でどうつくっているのかまで説明してもらえると、判断しやすくなると思うよ。

住宅会社を選ぶときに、夫が性能の数字以外で何を見ているのかについては、こちらの記事にまとめています。
まとめ|断熱等級7だから快適とは限らない
私は、断熱等級の数字が高いほど良い家になるものだと思っていました。
でも夫の考えを聞いてみると、数字だけでは分からないこともたくさんあるんですね。
窓の位置や日射、換気や暖房計画、そして現場での施工品質。
それに、性能を上げるためにどこまで予算を使うのかということも。
わが家は断熱等級6ですが、実際に暮らしている私は、今の家の暖かさに満足しています。
断熱等級は家の性能を知るための便利な数字ですが、どんな考えで設計され、どのようにつくられているのか。
そういうところも知っておきたいなと思いました。(๑•ᴗ•๑)
次に読んでほしい記事 🏠
断熱等級だけでなく、土地や予算、間取りなど、家づくりで考えることはたくさんあります。
わが家では、敷地も延床面積も約27坪という限られた条件の中で、何を優先するのかを考えながら家をつくりました。
その家づくりの考え方を、こちらの記事にまとめています。





