性能とコスト

小さい家は本当に安い?|建築費と坪単価から考える小さな家のコスト

一級建築士|ドル

小さい家は、建築費の総額を抑えやすい住まいです。

ただし、小さく建てるだけで「安い家」になるとは限りません。

大切なのは、抑えられた予算を何に使うかです。

一級建築士 ドル
一級建築士 ドル

「小さい家なら安く建てられる。」

家づくりを考え始めると、このような話をよく耳にします。

確かに、建物の面積が小さくなれば、建築費の総額は抑えやすくなります。

その一方で、キッチンや浴室、給湯器など、家を小さくしても減りにくい費用があります。

そのため、小さい家は総額を抑えやすいものの、坪単価では割高になりやすい傾向があります。

だからこそ「いくら安くなるか」だけではなく、限られた予算をどこに使えば、毎日の満足度が高くなるのかを考えることが大切だと思います。

この記事では、小さい家のコストについて知っておきたいことと、私が27坪の家を選んだ理由をお伝えします。

【結論】小さい家は総額を抑えやすいが「安い家」とは限らない

自邸のLDK

小さい家の最大のメリットは、建物全体に必要な材料や施工の量を抑えやすいことです。

床・壁・天井などの面積が小さくなれば、建築費の総額も小さくしやすくなります。

ただ一方で、家が小さくなっても、すべての費用が同じ割合で減るわけではありません。

そのため25坪の家だから30坪の家より坪単価が必ず安い、ということにはなりません。

小さい家は「安い家」ではなく、限られた予算の配分を変えやすい家だと考えると分かりやすいと思います。

面積を減らしても減りにくい費用がある|坪単価が上がりやすい理由

家が小さくなっても、暮らすために必要な設備まで同じ割合で小さくなるわけではありません。

たとえば、

  • キッチン
  • 浴室
  • トイレ
  • 給湯器
  • 換気設備
  • 電気・給排水などの設備工事

は、建物の面積にかかわらず必要です。

また、設計料や確認申請、仮設工事などにも、面積だけでは決まらない費用があります。

もちろん、設備のグレードや建物の形によって金額は変わります。

ただ、面積を小さくしても減りにくい費用があるため、床面積が小さいほど坪単価は上がりやすくなります。

ここで大切なのは、坪単価だけで家の価値を判断しないことです。

坪単価は比較の目安にはなりますが、どの設備を選び、どの性能を確保し、どんな空間にしたいかによって大きく変わります。

▶︎ 同じ予算でもここまで変わる|家づくりのお金の使い方

小さくしても「安い家」にならない3つのケース

1.性能や設備の質を優先する場合

断熱性能、窓、換気、キッチンや浴室の設備などにしっかり予算をかければ、建物が小さくても坪単価は上がります。

これは無駄にお金を使っているということではありません。

小さくした分の予算を、毎日の快適さや将来の暮らしやすさに使うという選択です。

2.素材や空間のつくり方にこだわる場合

造作家具、木の仕上げ、光の入り方を考えた開口部、庭とのつながりなど、面積だけでは測れない部分にも費用はかかります。

小さな家ほど、一つひとつの空間が暮らしに与える影響は大きくなります。

だからこそ、面積を増やす代わりに、毎日触れる素材や見える景色に予算を使うという考え方もあります。

3.土地・外構・諸費用まで含めて考える場合

家づくりの予算は、建物だけではありません。

土地、外構、地盤改良、家具、引っ越し費用なども含めて、初めて全体の予算が見えてきます。

建物を小さくしても、土地や敷地条件によっては、家づくり全体の費用が大きく変わることがあります。

「建物の坪単価」だけではなく、総予算のなかで何を優先するかを見ることが必要です。

そもそも土地・建物・諸費用を含めた総予算をどう決めるかは、こちらで詳しく整理しています。

▶︎ 家づくりの予算はどう決める?土地・建物・諸費用を一級建築士が整理

小さくした分の予算を、どう使うか

小さい家を選ぶ価値は、単に建物を安くすることだけではありません。

面積を少し抑えることで生まれた予算を、何に使うのか。

そこに、その家らしさが表れます。

私が大切だと思うのは、次のような部分です。

  • 立地
    通勤や買い物、家族の移動など、毎日の時間に関わる場所を選ぶこと。
  • 住宅性能
    冬の室温や光熱費、家のなかで過ごす時間の心地よさを支えること。
  • 光や視線、庭とのつながり
    床面積だけを増やすのではなく、実際の面積以上に広がりを感じられる空間をつくること。
  • 毎日触れる素材や設備
    長く使うものだからこそ、使い勝手や手入れのしやすさまで考えて選ぶこと。

何にお金を使うべきかは、ご家族によって異なります。

車を優先したいご家族、庭で過ごしたいご家族、家の暖かさを最優先にしたいご家族。

それぞれに合う答えがあります。

実際に我が家では、床面積を抑えることで生まれた予算を、住宅性能や素材、坪庭など、毎日の暮らしの質につながる部分へ使いました。

27坪の自邸で、どこを抑え、どこにお金をかけたのかについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

▶︎ 面積を削って、質に使う|27坪の自邸で考えた家づくりのコスト配分

27坪の自邸で、私が選んだこと

私の自邸は、敷地・延床ともに約27坪です。

家を小さくしたからといって、坪単価まで安くなったわけではありません。

むしろ坪単価だけを見れば、決して安い家ではありません。

それでも、面積を少し抑えることで生まれた予算を、駅に近い立地、断熱性能、2階リビング、坪庭のある空間に使いました。

広い家を選ぶこともできたかもしれません。

ただ、私たちにとっては、広さよりも毎日の移動のしやすさ、冬の暖かさ、光や緑を感じられる時間を優先したかったのです。

もちろん、これは「小さい家が正解」という意味ではありません。

家族構成や持ち物、必要な部屋数、駐車台数によって、ちょうどよい広さは変わります。

私の自邸で何を選び、何を手放したのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

▶︎ 一級建築士が自邸で「選んだもの・捨てたもの」|27坪の家づくりで考えた優先順位

まとめ|「安い家」ではなく、「納得できる家」を目指してほしい

小さい家は、建築費の総額を抑えやすい住まいです。

ただし、坪単価で見ると割高になりやすく、性能や素材にこだわれば「安い家」になるとは限りません。

だからこそ、広さを少し抑えることで生まれた予算を、何に使うのかが大切です。

立地、住宅性能、庭とのつながり、毎日触れる素材や設備。

その選択によって、住み始めてからの満足度は大きく変わります。

家は、広さや坪単価だけで決まるものではありません。

限られた予算のなかで、何を選び、何を手放すか。

その積み重ねが納得できる住まいにつながるのだと思います。

一級建築士 ドル
一級建築士 ドル

小さな家が自分たちに合うのか、土地や予算をどう配分すればよいのか。

まだ条件が固まっていなくても大丈夫です。

設計者として、そして27坪の自邸で暮らす一人の施主として、考えを整理するお手伝いができればと思います。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

家づくりの予算を考えるときは、「何坪まで建てられるか」だけではなく、

  • 広さ
  • 立地
  • 住宅性能
  • 素材や設備
  • 庭や外部空間
  • 毎日の暮らしやすさ

の中で、何を優先したいのか考えてみてください。

そのうえで、

「家を少し小さくしたとき、その分の予算を何に使いたいか。」

を一度考えてみてほしいと思います。

小さくすること自体が目的ではありません。

面積を抑えることで、自分たちが大切にしたいものを守れるのであれば、それも一つの選択肢です。

反対に、必要な個室や収納、趣味の場所を削らなければならないのであれば、無理に小さくする必要はありません。

大切なのは、「安い家」を目指すことではなく、限られた予算の中で、自分たちが納得できるお金の使い方を見つけることだと思っています。

まずは、家族それぞれで「家づくりでお金をかけたいもの」を3つずつ書き出してみてください。

その中で共通しているものが、自分たちの家づくりで守りたい部分です。

その優先順位が見えてくると、「何坪の家にするか」より先に、どこへ予算を使うべきかが少しずつ見えてくると思います。

家づくりの悩み

LINEで気軽にご相談ください

土地や間取り、家の広さ、住宅性能など、
「自分の場合はどうなんだろう?」という疑問に、一級建築士の視点からお答えします。

家づくりについて調べているけれど、

「この土地にどんな家が建つ?」
「広さはどのくらい必要?」

そんな、ちょっとした疑問でも大丈夫です。

LINEでご相談いただく場合

【STEP 1】 LINEを友だち追加
【STEP 2】 一言メッセージを送る
(「相談希望」など、簡単なメッセージでOKです)
【STEP 3】 私からLINEで返信します

家づくりのことで、
「ちょっと聞いてみたい」と思ったことがあれば、お気軽にご相談ください。

一級建築士|ドル
一級建築士|ドル
Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
プロフィールを読む
記事URLをコピーしました