はじめての家づくり

家づくりの予算の決め方|土地・建物・諸費用を総額で考える

一級建築士|ドル

家づくりの予算を考えるとき、土地と建物を別々に見てはいけません。

大切なのは、土地を買う前に建物価格を把握し、諸費用まで含めた総額で判断することです。

この記事では、一級建築士として住宅設計に携わり、自邸を建てた私が、実際にどのような順番で予算を考えたのかをお話しします。

一級建築士 ドル
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「家づくりには、いくらかけても大丈夫なのか。」

「土地と建物には、それぞれどのくらい予算を振り分ければよいのか。」

家づくりを始めると、多くの方が最初に悩むことだと思います。

土地・建物・諸費用の割合を紹介する情報もありますが、土地の価格は立地や広さによって大きく変わります。

建物も、広さや仕様、依頼する住宅会社によって金額が変わります。

そのため、一般的な割合だけを見ても、自分たちに合った予算配分が分かるとは限りません。

私が自邸の予算を考えたときは、最初に総予算を決め、次に建物に必要な金額を確保しました。その残りで購入できる土地を探しています。

この順番にしたのは、土地を先に購入してしまうと、最後に建物の空間や内装の質を落として調整することになりやすいと考えたからです。

家づくり全体をどのような順番で考えればよいのかは、こちらの記事で7つのSTEPに分けてまとめています。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

この記事では、「家づくり全体にいくら使えるのか」と、その予算を土地・建物・諸費用へどう振り分けていくか、その順番を中心にお話しします。

同じ予算でも「広さ・性能・素材など、何にお金を使うか」で家は変わります。その考え方については、別の記事で詳しく紹介しています。

▶︎ 同じ予算でもここまで変わる|家づくりのお金の使い方

家づくりの予算は「土地+建物+諸費用」で考える

家づくりにかかる費用は、土地代と建物代だけではありません。

登記費用、住宅ローンに関する手数料、火災保険などの諸費用も必要です。土地によっては、地盤や上下水道などに追加費用がかかることもあります。

土地が安く見えても、その土地に建てるための費用まで含めると、想定より総額が高くなる可能性があります。

そのため、予算は次の3つを合わせて考えます。

項目主な内容
土地土地の購入費用
建物建物本体、設備、内装など
諸費用登記、住宅ローン手数料、火災保険など

ただし、どの費用が建物価格に含まれるかは、住宅会社によって異なります。

設計料や申請費用、暖房・給湯設備などが建物価格に含まれているのか。それとも別途必要なのか。

金額だけではなく、その金額にどこまで含まれているのかを確認することが大切です。

また、家は建てて終わりではありません。住み始めてからは、固定資産税や光熱費、メンテナンス費などもかかります。

我が家で実際に支払っている固定資産税・都市計画税については、こちらで公開しています。

▶︎ 27坪の家にかかる税金は年間約10万円|固定資産税・都市計画税の実例

私は毎月の返済額から総予算を決めた

私が自邸を建てるときに決めた総予算は、5,000万円以内でした。

この金額は、銀行から借りられる上限額ではありません。

毎月の返済を13万円以内にしたいと考え、そこから総予算を決めました。

ボーナス払いは利用していません。

当時は、口座を持っていた銀行のホームページにある返済額シミュレーションを使って試算しました。

返済額を決めるときに考えたのは、住宅ローンだけではありません。

  • 毎月の生活費
  • 奨学金の返済
  • 資格学校のローン
  • 税金
  • 今後必要になる費用

これらを支払いながら返せる金額として、月13万円以内に設定しました。

家づくりでは「いくら借りられるのか」に目が向きがちです。しかし、借りられる金額と、無理なく返し続けられる金額は同じとは限りません。

まずは、今の生活とこれからの支出を考え、毎月いくらなら返していけるのかを整理する。

その返済額でどのくらいの借入が可能なのかは、銀行の窓口で相談してみるとよいと思います。

金利や返済期間によって計算は変わるため、自分だけで判断するよりも、希望する返済額を伝えたうえで試算してもらった方が分かりやすいはずです。

建物予算を先に確保してから土地を探した

総予算5,000万円の中で、当初は次のように考えていました。

項目当初の目安
建物約3,500万円
諸費用約100万円
土地残った約1,400万円以内

建物に約3,500万円必要だと考えたのは、住宅設計の経験から、自分たちが求める家に必要なおおよその金額が分かっていたからです。

そこで、先に土地へ予算を使い、残った金額で建物を考えるのではなく、建物に必要な予算を確保してから、残った金額で購入できる土地を探すことにしました。

土地と建物のどちらに多く予算を使うかに正解があるわけではありません。

ただ、土地を購入してから建物予算が足りないことに気付かないように、土地を探す前に建物価格を把握しておくことは大切だと思います。

土地を先に買うと建物で調整することになりやすい

住宅設計の仕事をしていると、すでに土地を購入した方から相談を受けることがあります。

過去には、土地を購入した後に相談を受けたものの、残った予算では希望する家を実現することが難しく、最終的に建築費を抑えられる他社へ行かれたケースがありました。

土地を買う前に相談を受けていれば、土地の条件や予算を見直す提案はできたと思います。

ただ、それがその方にとって良い選択だったのかは分かりません。

  • 土地の広さや立地を優先したい方もいます。
  • 建物の空間や内装を優先したい方もいます。

土地の条件を守るために、建築費を抑えられる住宅会社を選ぶことも一つの判断です。

土地と建物のどちらを優先するかに、決まった正解はありません。

ただし、土地を購入した結果、建物にいくら残り、どのような家が建てられるのかは、購入前に知っておいた方がよいと思います。

土地を買った後では、予算配分を大きく戻すことが難しいからです。

自邸では土地を小さくし、建物予算を確保した

私たちが土地選びで優先したのは、地下鉄駅から徒歩10分以内という条件でした。

その一方で、土地の広さにはこだわりませんでした。

小さな土地でも、計画によって自分たちの暮らしを実現できると考えていたからです。

実際に購入したのは、駅から徒歩9分、27坪、840万円の土地です。

当初、土地には最大1,400万円程度を考えていたため、土地代を抑えられたことで、その分を建物予算として残すことができました。

その結果、床面積を大きくするのではなく、空間と内装の質を高めることができました。

これは「土地は小さい方がよい」という意味ではありません。

大切なのは、土地を購入する前に、建物と諸費用まで含めて総予算を見ることです。

土地だけを見て「この金額なら買える」と判断するのではなく、その土地を購入したあとに、希望する家を建てる予算がどのくらい残るのかまで確認しておいた方がよいと思います。

私たちは駅からの距離を守る代わりに、土地の広さを手放しました。

何を守り、何を手放すのか。

予算配分を考えることは、自分たちの家づくりの優先順位を考えることでもあります。

建物価格はオープンハウスで確かめる

土地を探す前に、まず建物価格を知るといっても、家づくりを始めたばかりの段階では、まだ間取りも仕様も決まっていません。

そのようなときは、自分たちがイメージする家を建てている住宅会社のオープンハウスへ行ってみるとよいと思います。

実際の建物を見ながら、その会社で30坪程度の家を建てる場合、どのくらいの費用が必要になるのかを聞いてみます。

見学している住宅について、次のようなことも確認すると、価格と建物の質を一緒に把握できます。

  • 建物の広さ
  • 内装や設備の仕様
  • 実際の建築費
  • 設計料や申請費用を含むか
  • 別途必要になる諸費用

単に「坪単価はいくらですか」と聞くだけでは、実際に必要な金額が分からないことがあります。

その坪単価がどのような仕様を前提とし、どこまでの工事を含んでいるのかまで聞くことが大切です。

住宅展示場やオープンハウスでは、価格だけでなく「自分はどんな空間に魅力を感じるのか」を知ることも大切です。

▶︎ 住宅展示場で見るべきなのは「家」ではない|一級建築士が伝えたい本当の見学方法

坪単価は、建物予算を考える目安として使う

住宅会社の建物価格を比較するとき、坪単価は一つの目安になります。

ただし、坪単価は建物の形や広さ、仕様、さらにどこまでの工事費が含まれているのかによって変わります。

また、小さい家では、キッチンや浴室、給湯設備など、床面積を小さくしても必要な費用が残るため、床面積に比例して建築費が下がるわけではありません。

そのため、坪単価だけで「高い・安い」を判断するのではなく、実際に希望する規模の家を建てる場合、総額でいくら必要なのかを住宅会社に確認することが大切です。

小さい家は、床面積を抑えることで建築費の総額を抑えやすくなります。

ただし、水回りや設備など、家を小さくしても必要なものは残るため、面積に比例してそのまま安くなるわけではありません。

小さい家の建築費がどのように変わるのかは、こちらの記事で詳しくまとめています。

▶︎ 小さい家は本当に安いのか|建築費と坪単価の考え方

土地を買う前に最低限確認したいこと

建物に使える予算が分かったら、その範囲で土地を探します。

候補地が見つかったときは、価格だけで決めず、購入前に次のことを確認しておいた方が安心です。

  • 希望する規模の建物を配置できるか
  • 必要な部屋や駐車スペースを確保できるか
  • 建ぺい率・容積率・高さ制限などに問題がないか
  • 地盤や上下水道などに追加費用がかからないか
  • 土地・建物・諸費用を合わせて総予算内に収まるか

詳細な設計まで行う必要はありません。

ただし、希望する家がその土地に入りそうか、建築費を含めて予算内に収まりそうかは、軽く確認してから購入した方がよいと思います。

小さな土地や条件のある土地では、特に設計によって建てられる内容が変わります。

土地だけを見て判断するのではなく、そこに建つ家と合わせて考えることが大切です。

家づくりの予算を決める順番

私の経験から、家づくりの予算は次の順番で考えるのがよいと思います。

毎月無理なく返せる金額を決める

生活費や今後必要になる費用、住宅ローン以外の返済も含めて考えます。

銀行の窓口で借入額の目安を確認する

「いくら借りられるか」だけではなく、「毎月の返済をこの金額以内にしたい」と伝えて相談します。

希望する家の建物価格を把握する

好みに近い住宅会社のオープンハウスへ行き、30坪程度の家に必要な費用を聞きます。

金額に含まれる仕様や費用も確認します。

建物費と諸費用を確保する

建物に必要な金額と、登記や住宅ローン手数料、火災保険などの費用を総予算から分けておきます。

残った予算内で土地を探す

候補地が見つかったら、購入前に建物を軽く計画し、土地・建物・諸費用の総額を確認します。

家づくり全体で使える金額が見えてきたら、次に考えたいのは、その予算を何に使うかです。

同じ総予算でも、土地・広さ・住宅性能・素材・設備のどこを優先するかによって、できあがる家は大きく変わります。

▶︎ 同じ予算でもここまで変わる|家づくりのお金の使い方

まとめ|土地を買う前に建物価格を知る

家づくりの予算を考えるとき、土地・建物・諸費用を一定の割合に当てはめても、それが自分たちに合うとは限りません。

土地価格は、立地や広さによって大きく異なります。

建物価格も、住宅会社や仕様、建て方によって変わります。

だからこそ、先に自分たちが無理なく返せる総予算を考え、希望する家に必要な建物価格を知ることが大切です。

そのうえで、建物費と諸費用を確保し、残った範囲で土地を探します。

土地の条件を優先することが、間違いというわけではありません。

ただ、土地を購入した後で「希望する家を建てる予算が残っていなかった」と気付いても、配分を戻すことは簡単ではありません。

土地を買う前に、その土地にどのような家が建ち、総額でいくらになるのかを確認する。

それが、自分たちの優先したいものを守りながら、家づくりの予算を考えるための第一歩だと思います。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

予算を考えるときは、「借りられる金額」ではなく、無理なく返していける金額から考えてみてください。

そのうえで、

  • 家づくり全体でいくらまで使えるのか
  • 建物にはどのくらいの予算が必要になりそうか
  • 諸費用をどのくらい見ておくか
  • 土地に使える金額はいくら残るのか

を大まかに整理してみてください。

この段階で、1万円単位まで細かく決める必要はありません。

大切なのは、

「この土地はいくらだから買える」ではなく、「この家づくり全体の中で、この土地にいくら使ってよいのか」。

という見方ができるようになることです。

そこが見えてくると、土地探しの基準もかなり変わります。

次は、実際にどのような条件で土地を探し、なぜ27坪の土地を選んだのかをご紹介します。

▶︎ 条件が悪い土地は本当にダメ?一級建築士が27坪の土地を選んだ理由

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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