はじめての家づくり

住宅展示場の見方|一級建築士が教える、見るべき5つのポイント

一級建築士|ドル

住宅展示場で見るべきなのは、豪華な家ではありません。

「自分は何に魅力を感じたのか。」

その理由を知ることが、家づくりでは大切です。

一級建築士 ドル
一級建築士 ドル

住宅展示場へ行くと、誰でもワクワクします。

  • 開放感のあるリビング
  • 大きな吹き抜け
  • おしゃれな家具
  • 高級感のある素材

「こんな家に住みたい」と思うのは自然なことです。

私も以前、友人に頼まれて住宅展示場に同行したことがあります。

私でも最初に浮かぶのは「広い」「おしゃれ」という素直な感想です。

ただ、その一方で職業柄こんなことも考えます。

「この大きさや開放感を、実際の土地や予算の中でそのまま実現するのは難しいだろうな。」

住宅展示場はとても参考になります。

しかし、漠然と眺めているだけでは、本当に大切なことを見落としてしまうかもしれません。

今回は、一級建築士として私が考える「住宅展示場の見方」をお話しします。

住宅展示場は「自分の家の基準」ではない

住宅展示場は、住宅会社が自社の魅力を伝えるためにつくられています。

そのため、一般的な住宅とは予算や敷地条件、建物の大きさが大きく異なることがあります。

例えば、

  • 大きな吹き抜け
  • 広い玄関
  • ゆとりのある廊下
  • 高い天井
  • 上質な仕上げ材

どれも魅力的です。

ですが、それをそのまま自宅で再現できるとは限りません。

実際の住宅では、限られた敷地の中に建物だけでなく、駐車スペースや庭、アプローチなども計画する必要があります。

また、モデルハウスには標準仕様だけでなく、さまざまなオプションが採用されていることもあります。

だからこそ、住宅展示場をそのまま「自分の家の基準」にするのはおすすめできません。

建築士は、希望の奥にある「理由」を考える

設計相談では、お客様からさまざまなご希望を伺います。

以前、あるお客様から、

相談者
相談者

土間玄関にしたいです。

というご希望をいただきました。

一級建築士 ドル
一級建築士 ドル

どうしてですか?

と伺うと、

相談者
相談者

広い玄関に憧れているんです。

という答えでした。

つまり、土間が欲しかったわけではなく、

広く感じる玄関が欲しかった。

ということだったのです。

理由が分かれば、大きな土間を設けなくても希望を叶えられる可能性があります。

玄関の先に窓を設けて視線を外へ抜いたり、収納を目立たせず、空間をすっきり見せたりする方法もあります。

理由が分かれば、必ずしも大きな土間をつくらなくても、その希望を叶える方法はあります。

設計とは、言葉どおりに形をつくることではありません。

その人が本当に求めているものを見つけ、土地や予算に合う形に置き換えることだと私は考えています。

住宅展示場では、この5つを見てみてください

住宅展示場へ行くと、広いリビングや大きな窓、充実した収納など、目を引くものがたくさんあります。

もちろん、「これいいな」と感じること自体は大切です。

ただ、そこで終わらずに、

「なぜ自分はこれを良いと思ったんだろう?」

と、もう一歩だけ考えてみてください。

私なら、特に次の5つを見ます。

見る場所見てほしいこと
リビング広さではなく、なぜ広く感じるのか
大きさではなく、窓の先に何が見えるのか
玄関畳数ではなく、なぜ開放的に感じるのか
収納量だけでなく、使う場所との距離
庭・外部室内からどう見え、どうつながっているのか

例えば、20帖のリビングを見て「このくらい広いリビングが欲しい」と思ったとします。

でも、本当に20帖という広さに惹かれたのでしょうか。

もしかすると、

  • 窓の先まで視線が抜けていた
  • 天井が高かった
  • 庭とリビングがつながって見えた
  • 家具の配置に余裕があった

こうした理由から「広くて気持ちいい」と感じたのかもしれません。

理由が分かれば、同じ20帖のリビングをつくらなくても、その心地よさを別の方法で取り入れられることがあります。

狭小地のため、奥の家と視線が干渉しない工夫

住宅展示場で見てほしいのは、モデルハウスそのものではありません。

自分が何に心地よさを感じるのか。

それを知る場所として展示場を使うと、家づくりの見え方が少し変わってくると思います。

私自身、自邸を設計するときも、単純な床面積より「視線がどこまで抜けるか」を意識しました。

▶︎ 27坪の狭小地でも開放感はつくれる|坪庭で視線をデザインした自邸の実例

住宅展示場で持ち帰ってほしいもの

住宅展示場で持ち帰ってほしいのは、

間取りではありません。
吹き抜けでもありません。
豪華な設備でもありません。

持ち帰ってほしいのは、

「自分は何に魅力を感じたのか。」

という気付きです。

そして、その理由を住宅会社や建築士に伝えてみてください。

その理由こそが、土地や予算に合わせた最適な提案につながります。

住宅展示場は家をコピーする場所ではなく、自分たちの暮らしを考える場所なのです。

特に土地や予算に制約がある家づくりでは、広さそのものを真似るよりも、明るさのつくり方や視線の抜き方、居場所のつくり方を見る方が参考になります。

住宅展示場は、自分たちが何を心地よいと感じるのか、その理由を見つける場所でもあるのです。

展示場で見つけた「好き」を、そのまま自分の家に持ち込む必要はありません。
なぜ好きだったのかまで分かれば、敷地や予算、家族の暮らし方に合わせて、別の形で実現できることもあります。

また、住宅会社を選ぶときは、完成したモデルハウスだけで判断せず、その家をどのようにつくり、確認している会社なのかまで見ておきたいところです。

▶︎ 住宅会社選びで私が見ていること|性能の数字だけでは分からない「つくり方」

「展示場で見たあの空間が好きだった。でも、自分たちの土地や予算でもできるのだろうか」
そんな段階でも大丈夫です。展示場で見つけた「好き」を、実際の敷地や予算の中でどう実現するか、一緒に整理できます。

▶︎ 一級建築士への無料相談はこちら

私が展示場で見るなら「外とのつながり」

坪庭と繋がる寝室|自邸

正直に言うと、私は住宅展示場へ行っても、「この家をそのまま真似したい。」と思うことはほとんどありません。

住宅は土地が変われば、答えも変わるからです。

参考になると感じるのは、外とのつながり方です。

例えば、

  • 窓の先に何を見せているか
  • 周囲からの視線をどのように隠しているか
  • 室内からの視線がどこまで伸びているか
  • 庭やテラスを室内の続きとして感じられるか
  • 自然光が室内の奥までどのように届いているか

窓の位置や庭の形をそのまま真似するのではなく、光や視線をどう扱っているかという考え方は、敷地が変わっても応用できます。

「この住宅会社なら自分の土地ではどんな提案をしてくれるだろう。」

そんな視点で見学すると住宅展示場はもっと面白くなると思います。

自邸では、この「外とのつながり」を考えた結果、坪庭を家の東側に配置しました。位置を決めるまでには、西側に配置する案とも比較しています。

▶︎ 坪庭の位置はどこが正解か|27坪の自邸で西側案と東側案を比較した設計記録

まとめ

住宅展示場は、とても参考になります。

ただ、モデルハウスの広さや間取りをそのまま真似する必要はありません。

大切なのは、

「自分は、なぜこの空間を良いと思ったのだろう。」

と考えることです。

理由が分かれば、同じ広さや設備を採用しなくても、土地や予算に合わせて別の方法で実現できることがあります。

住宅展示場は、家をコピーする場所ではなく、自分たちが何を心地よいと感じるのかを知る場所として使ってみてください。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

展示場から帰ったら、家族で一度だけ話してみてください。

「今日見た中で、何が一番好きだった?」

そして、

「なぜ、それが良かったんだろう?」

まで考えてみます。

例えば、

  • リビングが広く感じた
  • 窓から庭が見えて気持ちよかった
  • 玄関が明るく感じた
  • 一人で落ち着ける場所があった

といったことで構いません。

まだ「20畳のLDKにしたい」「大きな吹き抜けが欲しい」と、間取りの条件にする必要はありません。

まずは、自分たちが何に魅力を感じたのか、その理由を知ること。

そこが見えてくると、限られた土地や予算の中でも、自分たちらしい家づくりを考えやすくなります。

次に読む記事

▶︎ 住宅会社選びで私が見ていること|性能の数字だけでは分からない「つくり方」

▶︎ 一級建築士が自邸で「選んだもの・捨てたもの」|27坪の家づくりで考えた優先順位

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

家づくりの悩み

LINEで気軽にご相談ください

土地や間取り、家の広さ、住宅性能など、
「自分の場合はどうなんだろう?」という疑問に、一級建築士の視点からお答えします。

家づくりについて調べているけれど、

「この土地にどんな家が建つ?」
「広さはどのくらい必要?」

そんな、ちょっとした疑問でも大丈夫です。

LINEでご相談いただく場合

【STEP 1】 LINEを友だち追加
【STEP 2】 一言メッセージを送る
(「相談希望」など、簡単なメッセージでOKです)
【STEP 3】 私からLINEで返信します

家づくりのことで、
「ちょっと聞いてみたい」と思ったことがあれば、お気軽にご相談ください。

一級建築士|ドル
一級建築士|ドル
Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
プロフィールを読む
記事URLをコピーしました