はじめての家づくり

住宅会社選びで私が見ていること|性能の数字だけでは分からない「つくり方」

一級建築士|ドル

住宅会社を選ぶとき、価格やデザインと並んで気になるのが「住宅性能」だと思います。

もちろん、性能の数字は大切です。

ただ、私が住宅会社を見るときは、

「どんな性能か」だけではなく、「その性能を実際の家でどう実現しているのか」

まで確認したいと思っています。

一級建築士 ドル
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住宅会社選びは、家づくりの中でも特に迷いやすいところです。

設計相談でも、

「性能が高い会社を選べばいいですか?」

「何を基準に比較すればいいですか?」

と聞かれることがあります。

私は100棟以上の住宅づくりに関わり、現場管理にも携わってきました。

その経験から感じているのは、住宅会社を見るなら、

「何を使っているか」だけではなく、「どうつくり、どう確認しているか」も大切

ということです。

この記事では、住宅会社を比較するときに私が見ているポイントと、専門知識がなくても確認できることについてお話しします。

自邸施工時の断熱材充填写真

モデルハウスだけでは「つくり方」までは分からない

モデルハウスを見ると、その住宅会社がどんな家をつくっているのかをイメージしやすくなります。

実際の空間の広がりや素材の質感、間取りや設備の使い勝手など、写真やカタログだけでは分からないことを体感できるのがモデルハウスの良さです。

私も、住宅会社を比較するときにモデルハウスを見ることには意味があると思っています。

ただ、そこで見ているのは基本的に「完成した家」です。

完成した家からは、

  • どんな空間をつくる会社なのか
  • どんなデザインが得意なのか
  • どんな素材や設備を使っているのか

といったことは分かります。

その一方で、

「その家を、どうつくっているのか」

までは、なかなか見えてきません。

例えば、

  • 壁の中に入っている断熱材
  • 配管や配線が通る部分の気密処理
  • サッシまわりの納まり
  • 施工中にどのようなチェックをしているのか
  • 完成すると見えなくなる部分を、どのように記録しているのか

こうした部分も、実際の住宅をつくるうえでは大切です。

それを知るためには建築途中の現場を見なければならないのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

もちろん、住宅会社が建築途中の現場見学を行っているのであれば、実際に見せてもらうのも一つの方法です。

ただ、施工中の現場は施主の家でもありますし、安全管理の面から自由に見学できるとは限りません。

そんなときは、

  • 断熱や気密をどのように確認しているか聞く
  • 現場監督や検査の体制を聞く
  • 完成すると見えなくなる部分の記録の方法を聞く

といった方法でも、その会社の「つくり方」を知ることができます。

大切なのは、

「現場を見たかどうか」ではありません。

私が住宅会社を比較するときに知りたいのは、

「設計したものを、実際の住宅でどうつくり、どう確認している会社なのか」

ということです。

モデルハウスで「どんな家をつくるのか」を見る。

そして、施工方法や管理体制について確認して、「その家をどうつくっているのか」を知る。

この二つを分けて考えると、住宅会社を見る視点も少し変わってくると思います。

モデルハウスでは、広さや設備を見るだけでなく、「なぜこの空間を心地よいと感じたのか」を考えてみることも大切です。
住宅展示場で私が見てほしいポイントはこちらの記事で詳しくお話ししています。

▶︎ 住宅展示場で見るべきなのは「家」ではない|一級建築士が教える「好き」の見つけ方

住宅性能は「数字」だけでは判断できない

住宅会社を比較していると、

  • UA値
  • C値
  • 断熱等級
  • 耐震等級

など、住宅性能を表すさまざまな数字を見ると思います。

もちろん、こうした数字は住宅会社を比較するうえで大切な情報です。

私自身も住宅性能は家づくりで重視したい部分だと考えています。

ただ、性能の数字を見るときに、もう一つ確認してほしいことがあります。

それが、

「その性能を、実際の住宅でどう実現しているのか」

ということです。

例えば、断熱材・気密の施工方法。

同じ種類、同じ厚さの断熱材を使っていても、ただ壁の中に入っていればいいわけではありません。

  • 隙間なく施工されているか
  • 配管や配線が通る部分はどう処理されているか
  • サッシまわりはどう納められているか

設計上の性能を実際の住宅で発揮するためには、こうした一つひとつの施工も大切になります。

とはいえ、住宅会社を選ぶ段階で、こうした施工を自分の目で確認するのは難しいと思います。

そこで私なら、

「断熱材は、施工後にどのようにチェックしていますか?」

と聞いてみます。

気密性能について「C値○○以下」と説明を受けたのであれば、

「気密測定は全棟で行っていますか?」

と聞いてみても良いと思います。

大切なのは、施工の良し悪しを自分で見抜くことではありません。

どんな性能を目指し、それをどう施工し、どう確認しているのか。

そこまで聞くことで、その住宅会社が性能をどのように考えているのかが少し見えてきます。

私は、

「どんな性能の家をつくっているか」と同じくらい、「その性能をどう実現し、確認しているか」

も住宅会社を見るポイントだと考えています。

性能の数字だけを見るのでもなく、施工だけを見るのでもありません。

性能・施工・確認方法をセットで見る。

住宅会社を比較するときには、この視点を持っておくと判断しやすくなると思います。

住宅性能については、数値だけでは分からない部分をこちらの記事でも詳しくお話ししています。

▶︎ 一級建築士が考える|断熱等級7でも快適とは限らない理由

住宅会社の「つくり方」で確認したい5つのポイント

では、住宅会社の「つくり方」を知るためには、何を確認すればいいのでしょうか。

専門的な施工の良し悪しを、自分で判断する必要はありません。

私なら、住宅会社の担当者に質問したりしながら、次の5つを確認するのが有効だと思っています。

① 現場を誰が、どのように管理しているか

まず確認したいのが、現場の管理体制です。

住宅は、設計図をつくればその通りに自動的に完成するわけではありません。

実際の現場では、大工さんをはじめ、さまざまな職人さんが工事に関わります。

そこで重要になるのが、現場全体を管理する人の存在です。

私なら、

「現場は誰が管理していますか?」

「現場監督は、どのくらいの頻度で現場を確認していますか?」

と聞いてみます。

現場監督が何棟くらい担当しているのかを聞いてみてもいいと思います。

担当棟数だけで良し悪しを判断することはできませんが、どのような体制で現場を管理しているのかを知る材料にはなります。

② 材料や完成した部分をどう扱っているか

次に確認したいのが、材料の保管や養生です。

家づくりでは、工事途中でもすでに仕上がっている部分があります。

床やサッシ、建具などを傷や汚れから守りながら、工事を進めなければなりません。

また、現場に搬入された材料を、雨や雪などからどのように守っているのかも気になるところです。

材料や建物をどのように扱っている会社なのか。

その考え方を見る一つの材料として確認します。

③ 断熱・気密をどう施工しているか

住宅性能を重視するなら、断熱材の種類や厚さだけではなく、施工方法についても聞いてみたいところです。

例えば、

  • 断熱材をどのように施工しているのか
  • 配管や配線の貫通部をどう処理しているのか
  • サッシまわりをどう納めているのか
  • 気密をどのように確保しているのか

などです。

ただ、ここも専門知識を身につけて、自分で施工を判定する必要はありません。

私なら、

「断熱や気密で、施工時に特に気をつけているところはありますか?」

と聞いてみます。

施工方法そのものだけでなく、なぜその方法を採用しているのかまで説明してくれるかも見ておきたいところです。

④ 施工を誰が、どのようにチェックしているか

個人的には、ここはかなり大切だと思っています。

どれだけ施工方法が決められていても、実際にその通り施工されているかを確認する仕組みがなければ分かりません。

そこで、

「施工中は、どのようなチェックをしていますか?」

と聞いてみます。

現場監督が確認するのか。

会社としてチェック項目が決められているのか。

どの段階で、誰が、何を確認しているのか。

会社によって方法は違うと思います。

大切なのは、特定の検査方法を採用しているかではなく、

「施工したものを確認する仕組みがあるか」

を見ることです。

⑤ 完成すると見えなくなる部分をどう記録しているか

断熱材や気密処理、構造部分などは、工事が進むと壁や天井の中に隠れていきます。

完成した住宅を見ても、後から確認することは難しくなります。

だから私なら、

「完成すると見えなくなる部分は、写真などで記録していますか?」

と聞いてみます。

施工写真を施主に渡している会社もあれば、社内で工事記録として保管している会社もあると思います。

方法は会社によって違って構いません。

私が確認したいのは、

完成すると見えなくなる部分まで、どのように確認し、記録しているのか。

ということです。

自分で施工をチェックする必要はない

ここまで5つのポイントをご紹介しましたが、私は家を建てる人自身が現場監督のように施工をチェックする必要はないと思っています。

施工中の写真を細かく確認したり、第三者へ送って、

「この施工で大丈夫でしょうか。」

と確認し続けるような家づくりは、かなり疲れると思います。

もちろん、第三者検査そのものを否定しているわけではありません。

ただ私は、

第三者に確認してもらわなければ不安で仕方がない状態で、その住宅会社に家づくりを任せること自体に違和感があります。

家は、完成するまで何か月もかけてつくっていくものです。

その間ずっと、

「ちゃんと施工されているだろうか。」

「この写真の納まりは大丈夫だろうか。」

と自分で確認し続けるのは、本来の家づくりではないと思っています。

だからこそ住宅会社を選ぶ段階で、

  • どのように現場を管理しているのか
  • 誰が施工を確認しているのか
  • 問題があったときにどう対応するのか
  • 完成すると見えなくなる部分をどう記録しているのか

を聞いておく。

そして、

「ここまで確認して、この会社なら任せられる。」

と思える会社を選ぶことの方が大切です。

ここまでの内容は、その判断をするための材料の一つです。

写真を集めて、自分が施工の専門家になることが目的ではありません。

家づくりの途中で、「本当に大丈夫かな」と第三者へ確認しなければ安心できないのであれば、

私はその前の住宅会社選びに戻って考えた方がいいと思います。

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住宅会社選びで大切なのは、

「自分で監視しなければならない会社を選ぶこと」ではなく、「任せられると思える会社を選ぶこと」。

私はそう考えています。

住宅会社によって「つくり方」や確認方法は違う

ここまで、住宅会社の「つくり方」を確認するポイントについてお話ししてきました。

ただ、

「この施工方法なら良い会社」

「この検査をしていなければダメな会社」

と単純に判断できるものではないと思っています。

住宅会社によって、採用している工法や断熱方法は違います。

現場監督の体制や施工中のチェック方法、記録の残し方にも違いがあります。

例えば、断熱や気密についても、一つの方法だけが正解というわけではありません。

大切なのは、

その会社が採用している方法に理由があり、それを現場で実現するための仕組みがあるか

ということです。

だから私は、住宅会社の説明を聞くときに、

「何を使っていますか?」

だけではなく、

「なぜ、それを採用しているんですか?」

「実際の施工では、どのように確認していますか?」

というところまで聞いてみたいと思っています。

その答えが、自分にとって理解できるものであることも大切です。

家づくりをする側が、住宅会社と同じ専門知識を持つ必要はありません。

分からないことを質問したときに、専門用語だけで終わらせず、なぜそうしているのかを説明してくれる。

分からないことがあれば、設計担当者や現場監督に確認して回答してくれる。

そうしたやり取りを重ねることで、

「この会社なら、自分たちの家を任せられそうだ」

と思えるかどうか。

性能の数字や施工方法だけではなく、私はそこも住宅会社選びでは大切だと思っています。

それでも住宅会社選びに迷ったら

ここまでいろいろな確認方法をお話ししてきましたが、それでも、

「結局、どの住宅会社を選べばいいんだろう」

と迷うことはあると思います。

むしろ、価格や性能、施工方法について詳しく調べるほど、分からなくなることもあります。

住宅会社には、それぞれ得意なことがあります。

  • 価格を抑えることが得意な会社
  • 住宅性能を重視している会社
  • 設計やデザインを大切にしている会社
  • 施工や現場管理に力を入れている会社

どこか一つの会社が、すべての人にとって一番良いわけではありません。

だから住宅会社を選ぶときには、

「どの会社が一番優れているか」

だけでなく、

「自分たちは、家づくりで何を大切にしたいのか」

を考えることも大切です。

例えば、

  • 広さを優先したい
  • 住宅性能を重視したい
  • 素材やデザインにこだわりたい
  • 土地や立地に予算を使いたい
  • 建物をコンパクトにして、性能や素材に予算を使いたい

人によって、優先順位は違います。

すべてを同じように求めるのではなく、自分たちにとって大切なものが見えてくると、住宅会社を比較する基準も少しずつ明確になります。

設計相談でも、

「何社か話を聞いたけれど、どこも良く見える」

「性能の違いは分かったけれど、自分たちにはどこまで必要なのか分からない」

といった話を聞くことがあります。

そんなときは、さらに住宅会社を比較する前に、一度、

「自分たちは、どんな家で暮らしたいのか」

まで戻って考えてみてもいいと思います。

住宅会社を選ぶこと自体が、家づくりの目的ではありません。

自分たちが望む暮らしを実現するために、どの会社に家づくりを任せるかを選ぶということだと思います。

それでも自分たちだけでは整理しにくい場合は、住宅会社を決める前に建築士へ相談する方法もあります。

建築士への相談は、間取りをつくってもらうためだけのものではありません。

土地のこと。

住宅会社のこと。

予算のこと。

そして、自分たちが家づくりで何を優先したいのか。

まだ何も決まっていない段階から、一緒に整理することもできます。

「建築士に相談するといっても、何を話せばいいの?」

という方はこちらの記事で詳しくお話ししています。

▶︎ 建築士への設計相談は何を話せばいい?初めての方によくある質問を一級建築士が解説

まとめ|性能の数字だけで住宅会社を選ばない

住宅会社を比較するとき、価格やデザイン、住宅性能は大切な判断材料です。

UA値やC値、断熱等級など、数字で比較できるものもあります。

ただ、私が住宅会社を見るときは、

「その性能を、実際の住宅でどう実現しているのか」

まで確認したいと思っています。

例えば、

  • 誰が現場を管理しているのか
  • 断熱や気密をどう施工しているのか
  • 施工したものを誰が確認しているのか
  • 完成すると見えなくなる部分をどう記録しているのか

といったことです。

もちろん、自分が施工の専門家になる必要はありません。

大切なのは、

「この会社は、どんな考えで家をつくり、それをどう現場で実現しているのか。」

を知ろうとすることだと思います。

そして最後は、

「自分たちは、どんな家で暮らしたいのか。」

に戻ってみてください。

住宅会社を選ぶこと自体が目的ではありません。

自分たちが望む暮らしを実現するために、どの会社と家をつくるのか。

私は、その視点で住宅会社を選ぶことが大切だと思っています。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

住宅会社を比較するときは、カタログや性能値を見るだけでなく、

  • なぜこの性能にしているのか
  • 現場は誰が管理しているのか
  • 施工後にどのような確認をしているのか
  • 見えなくなる部分を記録しているのか
  • 分からないことをきちんと説明してくれるか

を一度聞いてみてください。

そして、

「一番性能の高い会社はどこか」ではなく、「自分たちが安心して家づくりを任せられる会社はどこか」。

という視点でも比較してみてほしいと思います。

住宅会社選びだけでなく、土地・予算・間取り・性能まで、家づくり全体の進め方を整理したい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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