はじめての家づくり

家づくりは間取りから考えない|一級建築士が最初に「なぜ家を建てるのか」を聞く理由

一級建築士|ドル

家づくりを始めると、間取りや広さ、設備のことを考えたくなります。

でも私は、その前に一度考えてほしいことがあります。

「なぜ家を建てようと思ったのか。」

その答えが、家づくりの出発点になると思っています。

一級建築士 ドル
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この記事では、住宅会社や商品を比較する前に、
「なぜ家を建てたいのか」
「家でどんな時間を過ごしたいのか」
を整理します。

間取りや広さを先に決めるのではなく、望む暮らしを言葉にしてから、土地や予算、設計を考えるための記事です。

なお、住宅会社や商品をどう選ぶかについては、別記事「家は商品ではない」で扱います。

▶︎ 家は商品ではない|一級建築士が「暮らしから家を考える」理由

「LDKは何畳がいいですか?」
「部屋数のご希望は?」

注文住宅の家づくりの打ち合わせでは、そんな話から始まると思われるかもしれません。

もちろん、広さや部屋数も大切です。

ただ、私が最初に知りたいのは、その数字ではありません。

「なぜ家を建てようと思ったのですか?」

ということです。

  • 冬の寒さがつらい。
  • 今の家が手狭になった。
  • 家族でゆっくり過ごせる場所がほしい。
  • 一人で落ち着ける場所がほしい。

家を建てたいと思った理由の奥には、それぞれが望んでいる「暮らし」があります。

私は、その暮らしが見えてから間取りを考えたいと思っています。

家づくりの目的が分かれば、設計は変わる

例えば、

「LDKは20畳ほしいです。」

という要望があったとします。

もちろん、敷地や予算に余裕があれば20畳のLDKをつくることはできます。

ただ私は、その前に、

「なぜ20畳ほしいのですか?」

と聞いてみたいです。

  • 家族みんなでゆったり過ごしたいから。
  • 子どもが遊べる場所がほしいから。
  • 友人を呼んで食事をしたいから。

理由によって、本当に必要な空間は変わります。

もしかすると、必要なのは「20畳」という数字ではなく、

家族が自然と集まれる場所だったり、

外まで視線が抜ける開放感だったり、

ダイニングとは別に落ち着いて過ごせる小さな居場所なのかもしれません。

畳数は分かりやすい数字です。

ただ、広さと暮らしやすさは必ずしも同じではありません。

だから私は、数字を決める前に、

「そこで、どんな時間を過ごしたいのか。」

間取りはその暮らしを実現するための手段だと考えています。

なぜ27坪の家を建てたのか|一級建築士の自邸

私自身も、敷地27坪・延床約27坪の自邸を設計し、現在そこで暮らしています。

以前は夫婦でワンルームのアパートに住んでいました。

休みの日に家にいても、なんとなく時間を持て余していました。

居場所が少なく二人とも同じ空間で過ごすしかなかったからです。

でも今は違います。

朝起きると、まずダイニングか書斎でコーヒーを飲みます。

少し仕事をするときは書斎へ。

集中が切れたら、テラスへ出て風にあたります。

夜になると、自然とダイニングに座っていることが多くなりました。

ソファよりも、ダイニングの方が落ち着くのです。

妻もリビングや趣味室など、その日の気分で過ごす場所を変えています。

それぞれが好きな時間を過ごせる、以前のワンルームでは考えられなかった暮らしです。

同じ家にいながらお互いの時間を大切にできるようになりました。

それが、とても心地いいのです。

27坪の家の実際の間取りや、暮らして感じたメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の家は狭い?|一級建築士が自邸で実感したコンパクトな家のメリット・デメリット

「なんとなく行きたくなる場所」が暮らしを豊かにする

私は家を設計するとき、「居場所」というものを大切にしています。

ただ、私が考える居場所とは、

「なんとなく行きたくなる場所」

であって、特別な部屋のことではありません。

用事があるから行く場所ではありません。

気がつくとそこへいってしまう、そんな場所です。

私にとって自邸のルーフテラスはその一つでした。

仕事をしていて少し煮詰まると、自然と外へ出ています。

「少し外の空気を吸おう。」

「コーヒーを持って出てみよう。」

そんな何気ない行動が増えました。

じつは、今この文章もテラスで書いています。

目的があるから行く場所ではなく、気が付くと足が向いている場所。

家の豊かさは、大きなリビングや部屋数だけで決まるものではなく、

「今日はここで過ごそう」

そんな場所が一つ、また一つと増えていくことで、家で過ごす時間は豊かになるのだと、自分の暮らしを通して実感しました。

自邸でつくった4つの居場所については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の家でも豊かに暮らせる|4つの居場所をつくった自邸の設計実例

間取りを考える前に、暮らしの場面を考える

家づくりを始めると、

「3LDKがいい。」

「LDKは20畳ほしい。」

「収納はたくさんほしい。」

と、どうしても間取りや数字から考えたくなります。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

ただ、その数字を決める前に、一度だけ暮らしの場面を想像してみてください。

  1. 休日の朝、家のどこで過ごしたいか。
  2. 家族と一緒に過ごす時間と、一人で過ごす時間をどうしたいか。
  3. 今の暮らしで「こうなったらいいのに」と感じていることは何か。

ここが見えてくると、必要な間取りも少しずつ変わってきます。

例えば、

一人で過ごす時間が大切なら、大きなLDKだけではなく小さな書斎があった方が良いかもしれません。

外を感じながら過ごしたいなら、室内を広げるより、小さな庭やテラスへ予算を使った方が満足度が高いかもしれません。

家族で過ごすことを大切にしたいなら、単純な畳数よりも、キッチン・ダイニング・リビングのつながり方を考えた方が良いかもしれません。

間取りは、暮らし方から逆算して考える。

私はその方が、自分たちらしい家に近づいていくと思っています。

家は「建てること」が目的ではない

家づくりをしていると、

  • 間取り
  • 住宅性能
  • 設備
  • 素材
  • デザイン
  • 土地
  • 予算

考えなければならないことがたくさんあります。

調べれば調べるほど、何が正解なのか分からなくなることもあります。

そんなときは、一度最初に戻ってみてください。

「なぜ家を建てようと思ったのか。」

その理由が分かれば、何を大切にして、何を手放してもいいのかも見えやすくなります。

私は家という「器」をつくることだけが、住宅設計だとは思っていません。

  • 朝起きたとき
  • 仕事から帰ってきたとき
  • 休日を家で過ごすとき

何年もそこで暮らしていく中で、

「この家で過ごすのが好きだな。」

と思える時間をつくること。

それが、家を設計するということなのだと思っています。

だから私は間取りを考える前に、

「なぜ家を建てようと思ったのですか?」

と聞くところから始めます。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

間取りを考え始める前に、一度だけ家族で話してみてください。

「なぜ、今の家ではなく、新しい家で暮らしたいのか。」

例えば、

  • 今の暮らしで不便に感じていること
  • 家で過ごす時間をどう変えたいか
  • 家族と一緒に過ごしたい時間
  • 一人で過ごしたい時間
  • 新しい家でやってみたいこと

を、思いつくまま書き出してみます。

まだ「3LDK」「20畳のLDK」といった間取りにする必要はありません。

まずは、自分たちがどんな暮らしをしたいのか。

そこが見えてくると、次に「何を優先するのか」「家づくりにいくら使うのか」も考えやすくなります。

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▶︎ 一級建築士が自邸で「選んだもの・捨てたもの」|27坪の家づくりで考えた優先順位

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▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

家づくり全体をどのような順番で考えればよいのかは、7STEPの完全ガイドにまとめています。

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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