27坪の2階リビングは後悔する?一級建築士が自邸で暮らして分かったこと

狭小地で家を建てるとき、悩ましいのがリビングの位置です。
1階にするか、2階にするか。
日常の動線や将来の階段負担まで考えると、1階リビングの方が暮らしやすいケースは多いと思います。
ただし、周囲を建物に囲まれた狭小地では、1階よりも2階にリビングを配置した方が快適になることがあります。
私自身、自分で設計した2階リビングの家に暮らしています。
実際に暮らしてみた感想は、
我が家では、2階リビングを選んで正解だった。
ということです。
ただし、まったく後悔がないわけではありません。
階段移動の多さや、2階の生活音が1階の寝室へ伝わることは、暮らし始めてから実感したデメリットです。
我が家のLDKは、カーテンを閉めない生活を送っています。
空が見え、光が入り、外からの視線も気にならない。
その状態で過ごせる時間が、思っていた以上に心地よかったです。

この記事では、自邸での暮らしをもとに、2階リビングのメリット・デメリットと、採用前に考えておきたいことをご紹介します。
結論|明確な理由がある2階リビングは快適

2階リビングは快適ですが、すべての家におすすめできるわけではありません。
- 周囲が開けている
- 1階でも十分に光が入る
- 土地が広く1階で使える面積にゆとりがある
- 庭とリビングを直接つなげたい
こうした条件であれば、無理にリビングを2階へ上げる必要はないと思います。
日常生活での階段の上り下りや、老後の暮らしまで考えると、基本的には1階リビングの方が動線も短く、長く暮らしやすいのは間違いありません。
逆に、次のような条件では、2階リビングが合理的な選択肢になります。
- 見晴らしの良い土地
- 住宅密集地で1階の日当たりが悪い
- 道路や隣家からの視線が気になる
- 土地が狭く、1階で使える面積が限られる
- 必要な駐車台数が多く、1階の面積が小さくなる
大切なのは、2階リビングを間取りの流行や憧れだけで選ぶのではなく、
その土地で、2階にする明確な理由があるか。
を考えることだと思います。
なぜ2階リビングにしたのか|我が家のケース
我が家の敷地は約27坪で、東側と南側には住宅が近接しています。

札幌は公共交通機関がある程度整っているとはいえ、日常の移動には車が欠かせません。
そのため、狭小地で駐車スペースを確保すると、1階で使える面積はかなり限られます。
1階にカーポート・玄関・シューズクロークなどを配置したうえで、さらにLDKを計画しようとすると、どうしてもコンパクトなLDKになってしまいます。
そこで我が家では、1階に寝室や水回りなどのプライベートな空間を配置し、家族が長い時間を過ごすLDKを2階へ上げました。
1階リビングと2階リビングを比較
我が家の敷地条件で比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | 1階リビング | 2階リビング |
|---|---|---|
| 採光 | 隣家の影響を受けやすい | 高い位置から光を取り込みやすい |
| 外からの視線 | 隣家が近接している | 通行人の視線が気になりにくい |
| LDKの広さ | 駐車場や玄関との取り合いになる | 2階のまとまった面積を使いやすい |
| 買い物動線 | 荷物を運びやすい | 階段を上がる必要がある |
| 来客・宅配対応 | 玄関との移動が少ない | 上下階の往復が発生する |
| 将来の暮らし | 1階中心で生活しやすい | 階段への備えが必要になる |
日常動線だけを考えれば、1階リビングの方が便利です。
それでも我が家では、動線よりも、日当たり・プライバシー・LDKの広さを優先しました。
一言で言うと、日当たり・駐車スペース・LDKの広さ。
この3点から2階リビングを採用しました。


2階リビングの実体験|メリット編
メリット①|プライバシーと視線
1階リビングでは、道路を歩く人や駐車場にいる人と目線の高さが近くなります。
せっかく大きな窓を設けても、外からの視線が気になり、日中でもレースカーテンを閉めたままになっているケースは少なくありません。
2階リビングは必然的に視線が高くなるため、道路や隣家からの視線が合いにくくなります。
さらに、空や遠くの景色へ視線が抜けることで、実際の床面積以上に広く感じられます。
実際に暮らしてみると、
狭小地に建っていることを忘れるくらい、外からの視線が気になりません。

視線の考え方については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
メリット②|光を取り込みやすい

都市部では、どうしても隣家との距離が近くなります。
1階リビングでは、
- 隣家の影になってしまう
- 想像していたより室内が暗い
- 窓を設けてもカーテンを開けにくい
といったことが起こりやすくなります。
LDKを2階へ上げると、高い位置から光を取り込めるため、室内への光の入り方が大きく変わります。
我が家では、LDKとつながる位置に坪庭を設け、2階部分を吹き抜けにしました。
そうすることで、朝の光や空の広がりを感じやすく、実際の床面積以上の抜け感が生まれています。

小さな家では、単純に床面積を広くすることよりも、
明るさや視線の抜けをつくることの方が、体感的な広さにつながる。
と実感しています。
メリット③|カーテンを閉めずに暮らせる
我が家の坪庭は、道路や隣家などの外側へ向かって開くのではなく、建物の内側へ向かって開くように計画しました。
そのため、昼間だけでなく、夜も外からの視線がほとんど気になりません。
カーテンを閉めなくても落ち着いて過ごせることで、窓の先まで室内が続いているように感じられます。

カーテンを開けて暮らせることは、単に室内が明るくなるだけではありません。
空や坪庭とのつながりが生まれ、家の中での過ごし方そのものが変わりました。
メリット④|限られた面積をLDKに使えた
我が家では、1階に駐車スペース・玄関・寝室・水回りなどを配置しています。
もし1階にLDKも入れようとすると、それぞれの空間が小さくなり、LDKの広さを十分に確保できませんでした。
LDKを2階へ上げたことで、2階のまとまった面積を、家族が長い時間を過ごす場所として使えるようになりました。
住宅全体を大きくしなくても、長く過ごす場所へ優先的に面積を配分できることは、27坪の我が家にとって大きなメリットでした。
2階リビングの実体験|デメリット編
デメリット①|階段移動は間違いなく増える

これは間違いなくあります。
我が家の間取りは、次のようになっています。
- 1階:玄関・シューズクローク・寝室・WIC・水回り
- 2階:LDK・妻の趣味室・洋室・トイレ
水回りとLDKが上下階に分かれているため、1階リビングよりも階段移動は多くなります。
特に移動が発生するのは、次のような場面です。
- 買い物後の荷物運び
- 宅配便や来客への対応
- 洗濯
- ゴミ出し
- 外出前に忘れ物を取りに戻るとき
一回ごとの移動は短くても、日常生活の小さな往復は積み重なります。
現時点では大きな負担には感じていませんが、2階リビングを採用する以上、避けることのできないデメリットです。
そのため、2階リビングを計画するときは、LDKの位置だけでなく、
- 玄関と冷蔵庫の距離
- 洗濯機と物干し場所の位置
- ゴミの保管場所
- 上下階それぞれの収納
まで含めて考える必要があります。
デメリット②|2階の生活音が1階へ伝わる

我が家では、2階のダイニングと書斎コーナーの下に、1階の寝室があります。
夜、私が書斎コーナーで椅子を引くと、その音で1階にいる妻が目を覚ましてしまうことがあります。
今では妻が就寝しているときは忍び足で歩き、椅子も引きずらず、持ち上げて動かすようにしています。


2階リビングでは、次のような音が直下の部屋へ伝わる可能性があります。
- ダイニングチェアを引く音
- 子どもが走ったり飛び跳ねたりする音
- キッチンで物を落とした音
- 洗濯機や食洗機の振動
- テレビやスピーカーの音
設計段階では、部屋の広さや生活動線だけでなく、
音が発生する場所の下に、どの部屋があるのか。
まで確認することが重要です。
我が家をもう一度設計するなら、ダイニングや書斎の直下に寝室を配置しない、椅子を使う場所を寝室からずらす、床の遮音対策を強化するといった方法を検討します。
2階リビングそのものを後悔しているわけではありませんが、寝室との上下関係は、もう少し慎重に考えるべきでした。
実際に暮らしてから気づいた、寝室と書斎の上下階の音については、こちらの記事でより詳しくまとめています。
2階リビングで老後も暮らせるのか

2階リビングを検討するとき、多くの方が心配するのが老後の生活だと思います。
正直に言えば、階段移動がある以上、1階リビングよりも負担が大きくなる可能性はあります。
現在は問題なく生活できていても、年齢を重ねたときや、けがをしたとき、体調を崩したときには、2階までの移動が負担になるかもしれません。
そのため、2階リビングを採用するときは、現在の暮らしだけでなく、
- 上り下りしやすい階段になっているか
- 将来、手すりを設置できるか
- 一時的に1階中心で生活できるか
- 家族構成が変わったときに対応できるか
まで考えておく必要があります。
2階リビングだから老後に暮らせないとは限りません。
ただし、「今は階段が苦にならないから大丈夫」と考えるのではなく、将来の暮らし方も含めて判断することが大切だと思います。
我が家の場合、1階に寝室・浴室・トイレ・ランドリーがあります。
27坪の家で老後まで暮らすことをどう考えているのかは、こちらの記事で詳しくまとめました。
それでも2階リビングにして良かった
私自身、設計する立場でありながら、
「2階LDKでの階段の上り下りが、果たしてどれくらいストレスになるのか」
というところは、実際に暮らしてみないことには分かり得ないところでした。
いざ暮らしてみると、思っていたほどのストレスはありません。
それはやはり、階段の上り下り以上のメリットがあったからです。
たしかに、階段移動は増えると思いますし、寝室へ伝わる生活音については、設計時にもっと考えるべきだったと感じています。
それでも、もう一度この土地に家を建てるとしても、私は2階リビングを選びます。
何と言っても、狭小地でありながら、
- 外からの視線が気にならない
- カーテンを閉めずに暮らせる
- 光や空を身近に感じられる
- 限られた面積でもLDKの広さを確保できる
という環境をつくれたことが大きいです。


2階リビングだから快適なのではありません。
この土地の条件を考え、2階にLDKを配置したからこそ、我が家では心地よい暮らしが実現できたのだと思います。
まとめ|2階リビングは土地の弱点を補う選択肢
「2階リビングはやめた方がいい?」
この質問に対しては、デメリットよりもメリットが大きいのであれば、2階リビングはむしろ快適になると思います。
確かに、階段移動や上下階の音、老後の暮らしなど、1階リビングにはない注意点があります。
一方で、住宅が密集した土地や限られた広さの敷地では、2階リビングにすることで、
- 日当たり
- プライバシー
- 視線の抜け
- LDKの広さ
を確保しやすくなります。
我が家では、階段と音というデメリットがあっても、それ以上に2階リビングのメリットを感じています。
大切なのは、1階と2階のどちらが一般的に優れているかではありません。
その土地で、どう暮らすと心地よいのか。
家づくりは、間取りの流行ではなく、土地の条件と日々の暮らし、将来のことまで考えたうえで選ぶことが大切だと思います。
2階リビングを検討するときは、
「明るそうだから」
「開放的だから」
だけで決めず、
- 1階でも十分に光を取り込めるか
- 道路や隣家からの視線は気になるか
- 駐車スペースとLDKの広さを両立できるか
- 買い物やゴミ出しで階段移動が負担にならないか
- 2階の生活音が1階のどの部屋へ伝わるか
- 将来、階段が負担になったときどう暮らすか
を一度考えてみてください。
そのうえで、
「2階にすることで得られるものが、階段というデメリットを上回るか。」
を考えると判断しやすくなると思います。
我が家では、階段移動や生活音というデメリットがあっても、
- 明るさ
- プライバシー
- 視線の抜け
- LDKの広さ
を得られることの方が大きいと判断しました。
だから、もう一度この土地に建てるとしても2階リビングを選ぶと思います。
大切なのは、2階リビングが良いか悪いかではありません。
その土地と、自分たちの暮らしに合っているか。
そこから考えてみてください。
土地・予算・間取り・性能まで、家づくり全体を順番に整理した記事はこちらです。

