実例|27坪の暮らし

収納を“分散”する設計|27坪の家で実践した、使う場所にしまう収納計画

一級建築士|ドル

収納は、多ければ多いほど安心。

家づくりでは、そう考える方も多いと思います。

ただ、27坪の我が家で大きな収納をいくつもつくれば、その分だけ暮らす場所が小さくなります。

そこで考えたのが、収納量を増やすことではなく、使う場所の近くに必要な分だけ収納することでした。

一級建築士 ドル
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我が家では、収納を一ヶ所にまとめるのではなく、

  • 玄関で使うものは玄関の近く
  • 洗面や洗濯で使うものは水まわりの近く
  • 衣類は寝室の近く
  • 食器や家電はキッチンの近く

というように、暮らしの動線に合わせて収納を分散させています。

いわゆる「分散収納」です。

大きな収納をつくること自体が悪いわけではありません。

ただ、小さな家では収納の広さだけではなく、

「何を、どこで使い、どこへ戻すのか。」

まで考えることが、限られた面積を無駄なく使うために大切だと感じています。

この記事では、27坪の自邸で実際に取り入れた収納計画と、暮らして分かったメリット・デメリットをご紹介します。

27坪という広さの中で、実際に暮らして感じたメリット・デメリットについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の家は狭い?|一級建築士が自邸で実感したコンパクトな家のメリット・デメリット

分散収納とは|使う場所と戻す場所を近づける

27坪という限られた面積では、収納量だけでなく、どこに配置するかも重要になります。

例えば、洗面用品を大きなファミリークローゼットへまとめても、洗面台から離れていれば、使うたびに取りに行かなければなりません。

反対に、使う場所の近くに必要な量だけ収納できれば、移動が少なくなり、使った物も戻しやすくなります。

ただし、すべての収納を小さく分散させればよいわけではありません。

日常的に使う物は、使う場所の近くへ。

季節用品や大型用品は、まとめて置ける場所へ。

物の大きさや使用頻度によって、分散収納と集中収納を使い分けることが大切です。

収納する物向いている方法収納場所の例
毎日使う日用品使う場所の近くへ分散洗剤、タオル、食器
大きく使用頻度が低い物一ヶ所へまとめるタイヤ、季節家電、スーツケース
使う部屋が決まっている物その部屋の近くへ収納衣類、布団、書斎用品
将来増える可能性がある物用途を限定しない収納趣味用品、家族の持ち物

我が家では、暮らしの動線に合わせて、収納を次の4つに分けました。

  1. 玄関収納ゾーン
  2. 水まわり収納ゾーン
  3. 寝室・個室収納ゾーン
  4. キッチン・リビング収納ゾーン

ここからは、実際の間取りと写真をもとに、それぞれの収納をなぜその場所に配置したのかをご紹介します。

我が家の間取り

この間取り図を基に詳しく紹介します。

我が家の収納計画(27坪2LDK)

小さな家では、収納を増やすほど、暮らすための場所は少なくなります。

我が家では収納量を増やすことよりも、限られた面積の中に過ごせる場所を残すことを大切にしました。

▶︎ 27坪の家でも豊かに暮らせる|4つの居場所をつくった自邸の設計実例

玄関収納ゾーン|外から持ち込む物を玄関まわりにまとめる

左側が階段下収納です

玄関まわりには、次の収納を設けています。

  • 玄関横に約2畳のシューズクローク
  • 階段下を利用したタイヤ収納

我が家には屋外物置がありません。

北海道で暮らす以上、タイヤなどの大きな物を置く場所は必要です。

そこで、玄関に近い階段下を、外で使う物や大きな物をまとめて収納する場所として活用しました。

外から持ち込んだ物を玄関まわりで収納できれば、室内の奥まで運ぶ必要がありません。

階段下収納には、見た目を気にせず置きたい物も入っています。

玄関から見える場所にあるため、普段はロールスクリーンで隠せるようにしました。

きれいに見せる収納だけでなく、雑多な物を気兼ねなく置ける場所も必要でした。

限られた面積だからこそ、「見せる場所」と「隠す場所」を分けています。

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水まわり収納ゾーン|洗面・洗濯・トイレ用品を使う場所にしまう

水まわりには、次の収納を設けています。

  • トイレの壁面収納
  • 洗面台下の収納棚
  • 洗面と浴室の間に設けたニッチ収納
  • ランドリーの可動棚

洗面用品、洗濯用品、トイレ用品は、それぞれ使う場所がはっきりしています。

そこで、一ヶ所の収納へまとめるのではなく、使う場所の近くへ必要な分だけ配置しました。

特に洗面スペースは浴室と一体の空間として考え、できるだけ生活用品が表に出ないようにしています。

ただし、すべてを隠してしまうのではなく、ニッチには日常的に使う物や飾りたい物を置けるようにしました。

完成時はすっきりしていましたが、実際に暮らすと、物の置き方は少しずつ変わります。

設計時の写真と現在の写真を比べると、収納は完成時の見た目だけでなく、暮らし始めてから使い続けられることが大切だと感じます。

寝室・個室収納ゾーン

寝室と個室には、次の収納を設けています。

  • 寝室奥に約2畳のウォークインクローゼット
  • 洋室に中棚と枕棚
  • 書斎コーナーに可動棚

衣類は寝室横のウォークインクローゼットへ。

来客用の布団は洋室の収納へ。

書斎で使う物は書斎コーナーの可動棚へ。

一つの大きなウォークインクローゼットにすべてを集めるのではなく、使う場所に合わせて収納先を分けました。

収納を分散させたことで、物を使うたびに別の部屋へ取りに行く必要がなくなります。

洋室の収納は扉を設けず、必要に応じてカバーで隠せるようにしています。

すべての収納を家具のようにつくり込むのではなく、用途に合わせて簡潔につくることも、限られた予算と面積を使ううえで意識したことです。

洋室の収納には、建具を付けませんでした。

限られた予算をほかに優先したい部分へ使うため、必要に応じてカバーで隠せれば十分だと判断しました。

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キッチン・リビング収納ゾーン

キッチンとリビングには、次の収納を設けています。

  • キッチンの造作食器棚
  • 食品などを保管する保冷庫
  • テレビ上部のルーバー収納

キッチンで使う食器や家電は、キッチンの中で収納が完結するようにしました。

リビングでは、テレビ上部の空間を利用してルーバー収納を設けています。

この収納は、エアコンや熱交換器を隠しながら、収納としても使えるようにしたものです。

限られた面積では、設備のための場所と収納のための場所を、完全に分けられない場合があります。

そこで、設備を隠す役割と物を収納する役割を一つにまとめました。

すべてを隠すのではなく、見せたい物と生活感が出やすい物を整理することで、LDKの雰囲気を保ちやすくしています。

実際に暮らして感じること|メリット・デメリット

実際に暮らしてみると、現時点で収納が大きく不足していると感じることは、ほとんどありません。

収納量に余裕があるわけではありませんが、使う場所の近くに収納があるため、物を戻すまでの移動が少なくなりました。

収納が大きいから片付けやすいのではなく、使った場所から戻しやすいことが、我が家では片付けやすさにつながっています。

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その反面、コンパクトな家の分散収納には、暮らしてから気付いた課題もあります。

大きな物をまとめて置ける場所は限られる

コンパクトな家では、スーツケースや季節家電など、かさばる物を置ける場所が限られます。

日用品は使う場所の近くへ分散できますが、大型用品まで小さな収納へ分けることはできません。

そのため、間取りを考える段階で、

  • スーツケース
  • 季節家電
  • タイヤ
  • 来客用布団
  • 趣味の道具

など、大きな物の置き場所を決めておく必要があります。

我が家では、階段下収納が、見た目を気にせず大きな物を置ける貴重な場所になっています。

用途を限定しすぎない収納を1か所確保しておくと、暮らしの変化にも対応しやすいと感じています。

想定していなかった物が増えると影響が出やすい

現在は収納不足をほとんど感じていませんが、これからも同じ状態が続くとは限りません。

家族構成や趣味が変われば、必要な物も変わります。

我が家では、暮らし始めてから自宅で筋トレをするようになり、シューズクロークに筋トレ用品を置いています。

設計時には想定していなかった使い方です。

シューズクロークは少し窮屈になりましたが、ジムへ通う負担がなくなったことを考えると、現在の使い方には満足しています。

ただし、もともと収納だった場所を別の用途にも使えば、当然ながら収納できる量は減ります。

コンパクトな家には、「とりあえず置いておく場所」が多くありません。

設計時には想定できなかった物が増えることも考え、用途を決めすぎない余白をどこに残すかも大切だと感じています。

コンパクトな家では「とりあえず置いておく場所」が少ないため、

置き場所を決めていない物は行き場を失いやすくなります。

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分散収納は、場所ごとの役割を決めておく

分散収納は、使う場所と戻す場所が合っていれば便利です。
ただし、空いている場所へ収納を増やしていくだけでは、何をどこに置いたのか分かりにくくなる可能性があります。
同じ種類の日用品を複数の場所へ収納すれば、在庫の把握もしにくくなります。
そのため我が家では、

  • 玄関で使う物
  • 洗面・洗濯で使う物
  • 寝室で使う物
  • キッチンやリビングで使う物

分散収納とは、収納場所を増やすことではありません。

物の使い方に合わせて、それぞれの戻す場所を決めることだと思っています。

収納は「量・物・場所」を間取りとセットで考える

自邸を設計し、実際に暮らしてみて感じるのは、収納は単体では考えられないということです。

大きな収納を確保しても、使う場所から離れていれば、物を取りに行き、使った後に戻すという移動が増えます。

反対に、使う場所の近くに収納があっても、必要な量が納まらなければ、物は外へあふれてしまいます。

収納を計画するときは、次の7つを確認しておくと、自分たちに必要な収納が見えやすくなります。

  1. 何を収納するのか
  2. どこで使うのか
  3. どこへ戻すのか
  4. どのくらいの量があるのか
  5. 将来増える可能性があるのか
  6. 大きな物をまとめて置ける場所があるか
  7. 用途を決めすぎない余白があるか

我が家では、玄関の近くにシューズクロークを設け、寝室の近くにウォークインクローゼットを配置しました。

単に収納面積を確保したのではなく、日常の動線上に収納を置くことを意識しています。

その結果、使った物を戻すまでの距離が短くなり、現在は大きな収納不足を感じずに暮らせています。

収納は、間取りが完成してから空いている場所へ追加するものではありません。

毎日の動きと一緒に、間取りの初期段階から考えることが大切です。

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まとめ|収納量だけでなく、使う場所から考える

27坪の我が家では、大きな収納を一ヶ所にまとめるのではなく、暮らしの動線に合わせて収納を分散させました。

実際に暮らしてみると、使う場所の近くに収納があることで、物を取り出し、元の場所へ戻しやすくなったと感じています。

ただし、収納は配置だけで決まるものではありません。

必要な量が納まること。

大きな物をまとめて置けること。

将来物が増える可能性を考えておくこと。

そのうえで、使う場所と戻す場所を近づけることが大切です。

小さい家では、収納量だけでなく、「どこに配置するか」が暮らしやすさを左右します。

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これから間取りを考える方は、「収納は何畳必要か」だけではなく、

  • 何を収納するのか
  • どこで使うのか
  • どこへ戻すのか

まで考えてみてください。

収納を暮らしとセットで考えることで、限られた面積でも片付けやすい住まいに近づくと思います。

収納だけでなく、土地・予算・間取り・性能まで含めて家全体の優先順位を整理したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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