実例|27坪の暮らし

ダウンライトをやめた結果|27坪のコンパクトな家で感じた照明の違い

一級建築士|ドル

2025年、27坪の自邸を設計・建築しました。

27坪のコンパクトな住まいを計画する中で、照明計画は最後まで悩んだポイントのひとつでした。

一般的にはダウンライトで天井をスッキリ見せる方法が多いですが、我が家ではあえて採用しませんでした。

唯一ダウンライトを付けた場所は、ガレージだけです。

選んだのは主に、壁付けのブラケットライトと、天井から吊るすペンダントライト。

きっかけは「天井に孔をあけたくない」というシンプルなものです。

実際に暮らしてみると、その選択は見た目だけでなく、住まいの居心地にも大きく影響していると感じています。

最初は見た目の好みでした。

実際に暮らしてみると、ダウンライトのない照明計画の居心地の良さに気が付きました。

一級建築士 ドル
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なぜ一般的にはダウンライトが多いのか?

ダウンライトが多く採用される理由のひとつに、「計画のしやすさ」があります。

設計者の立場から見ても、ダウンライトは配灯のセオリーが確立されていて、失敗が少ない照明です。

例えば、大光電機(DAIKO)のカタログには、部屋の広さや用途に応じた配灯方法が丁寧に整理されています。

  • 均一に明るくする配置
  • 必要な照度を確保する考え方
  • 間隔や台数の目安

こうした基準に沿って計画すれば、「暗すぎる」「明るさにムラがある」といった失敗は起きにくく、万が一住んでから暗いと感じても、60Wから100Wに交換、のような形で対策が打てるのもメリットの一つです。

だからこそ住宅では、安心して選ばれる照明でもあると感じています。

ダウンライトをやめた理由

自邸は27坪のコンパクトな住まいです。

限られた空間の中で、天井にダウンライトの孔が並ぶと意外と存在感が出るのではないかと感じました。

ダウンライトの配置次第ではキレイに整えることも可能ですが、そもそも「孔をあけたくない」という思いから、自邸ではできるだけフラットで静かな天井面にしたいと考えるようになりました。

それに加え、住まいの心地よさを考える中で、次第に「均一に明るくする照明」よりも「陰影をつくる照明」の方が魅力を感じるようになりました。

また、照明計画を考える中で、次のような点も気になっていました。

  • 光が上から均一に落ちてくること
  • 空間全体がフラットな印象になりやすいこと

特に27坪のようなコンパクトな空間では、均一な明るさよりも「光の濃淡」の方が大切だと感じました。

全体が明るい、というよりも「明るい場所」「暗い場所」が混在した居心地の良さ、です。

やはり一般的な照明計画では「明るさ」が求められることが多く、「暗い」という印象は避けたいところです。

しかし自邸では、自分が本当に心地よいと思う灯りを試してみたいと考えました。

普段は提案しづらい照明計画も、

自邸だからこそ思い切って試すことができました。

一級建築士 ドル
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採用したのは壁と低い位置の灯り

我が家が主に採用したのは、ブラケットライトとペンダントライトです。

  • 壁を照らして空間に奥行きをつくる
  • 視線の高さに近い位置に光源を置く
  • 必要な場所だけをやさしく照らす

結果として、光が「空間を満たす」のではなく、「居場所をつくる」ような感覚になりました。

我が家では、照明だけでなく、家の中に性質の異なる居場所をつくることも意識しました。

その日の気分に合わせて過ごす場所を選べるようにした考え方は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の家でも豊かに暮らせる|4つの居場所をつくった自邸の設計実例

灯りの重心を下げる

自邸を計画する中で、照明は空間の印象だけでなく、居心地そのものを左右する要素だと改めて感じました。

特に意識したのは、光を天井から降らせるのではなく、人のいる場所の近くに配置することでした。

実際に暮らしてみるとこれはかなり実感があって、

  • 夜にリラックスしやすい
  • 視線が安定する
  • 空間に落ち着きが生まれる

といった効果を感じています。

27坪の家でも、「広く見せること」と同じくらい、「落ち着けること」は大切でした。

住んでみて感じたリアルなメリット

実際に暮らして感じているメリットは、

  • 必要以上に明るくならない。
    →家全体を均一に照らさないため、夜は自然と落ち着いた雰囲気になります。
  • 場所ごとに雰囲気を変えられる
    →ダイニング・リビング・読書スペースなど、それぞれの居場所に合わせた灯りをつくることができます。
  • 夜の時間が心地よくなる
    →灯りの重心が低いため夜になると視線が安定し、ゆったりと過ごせるようになりました。

一方で感じたデメリット

  • 最初は少し暗く感じる
  • 照明計画に手間がかかる
  • 読書には手元灯が必要
  • 家族によって明るさの好みが違う
  • 将来的に暗く感じる可能性がある

といったデメリットが挙げられます。

とくに大きいのは、将来的な明るさへの不安です。

実際に60代以上のお客様とお話ししていると、「できるだけ明るくしたい」というご要望は少なくありません。

年齢とともに必要な照度は変わるため、今は心地よいと感じているこの明るさも、将来的には物足りなく感じるだろうと思っています。

ただ現時点では、この“少し暗い”と感じるくらいが、私たちにとってはちょうど良い明るさです。

正直なところ、万人に向く照明計画ではないと思います。

だからこそ、自分たちがどんな暮らしをしたいのかを考えながら選ぶことが大切だと感じています。

27坪の家こそ照明で「広さ」をつくる

広さは面積だけで決まるものではありません。

  • 視線の抜け
  • 光の広がり
  • 陰影のつくり方

こういった要素で、空間の感じ方は大きく変わります。

ダウンライトで均一に明るくするのではなく、光の重心を下げて「居場所」をつくる。

これはコンパクトな家ほど効果が大きいと感じています。

27坪の自邸では、照明だけでなく、窓や坪庭を使って視線がどこまで抜けるかも意識しました。

床面積を増やさずに、視線によって広がりをつくった考え方はこちらの記事で詳しくご紹介しています。

▶︎ 27坪の狭小地でも開放感をつくれる|坪庭で視線をデザインした自邸の実例

まとめ

我が家では、居心地を優先した結果、この照明計画が合っていました。

実際に暮らしてみると思った以上に、“落ち着ける空間になるかどうか”に直結する選択だったと感じています。

照明だけでなく、27坪の自邸で実際に暮らして感じたメリット・デメリットについては、こちらの記事でまとめています。

▶︎ 27坪の家は狭い?|一級建築士が自邸で実感したコンパクトな家のメリット・デメリット

27坪の家だからこそ、照明は「明るさ」ではなく「質」で考える。

我が家にとっての答えは、灯りの重心を下げて、居場所のある光をつくることでした。

家づくりでは広さばかり気にしていましたが、

実際に暮らしてみると「どんな灯りで過ごすか」の方が満足度に大きく影響していました。

一級建築士 ドル
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この記事を読んだ後に考えてほしいこと

照明を考えるときは、「何灯必要か」だけではなく、

  • 夜、どこで過ごすことが多いか
  • 明るくしたい場所と、少し暗くてもよい場所はどこか
  • 読書や仕事など、手元の明るさが必要な場所はあるか
  • 壁や天井をどのように見せたいか
  • 家族それぞれで明るさの好みに違いはないか

を考えてみてください。

そのうえで、

「家全体を明るくしたいのか、それとも居場所ごとに必要な灯りをつくりたいのか。」

を一度考えてみると、照明計画の方向が見えやすくなると思います。

ダウンライトを使うことが悪いわけではありません。

大切なのは、一般的な配置をそのまま選ぶのではなく、自分たちが夜をどのように過ごしたいのかまで考えて照明を選ぶことだと思っています。

土地・予算・間取り・性能まで含めて家づくり全体の優先順位を整理したい方は、「一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり」もあわせてご覧ください。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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