実例|27坪の暮らし

一級建築士が自邸でやって良かったこと9選|27坪の家で実感した暮らしの満足度

一級建築士|ドル

家づくりでは、「やって後悔したこと」や「失敗しないためのポイント」を紹介する記事をよく見かけます。

もちろん、後悔を減らすことは大切です。

でも、実際に住み続けていると、それ以上に感じるのは「毎日やって良かったと思えること」の大切さです。

私は一級建築士として住宅を設計しながら、自分自身でも敷地27坪・延床約27坪の家を設計し、実際に暮らしています。

設計した当時は「きっと良い家になる」と思って採用したものもあれば、正直なところ半信半疑だったものもあります。

しかし暮らしの中で感じる満足度は、図面を描いていた頃の想像とは少し違いました。

  • 毎朝カーテンを開けた瞬間の景色。
  • 仕事から帰って玄関を開けたときの空気感。
  • 一日の終わりに入るお風呂。

そんな何気ない時間こそ、「この設計にして良かった」と感じています。

この記事では、一級建築士として設計し、施主として実際に暮らしたからこそ分かった今でも毎日「やって良かった」と思う設計や設備、家づくりの工夫をご紹介します。

「家は広さよりも、居心地。」

私自身が住みながら実感していることを、正直にお伝えできればと思います。

一級建築士 ドル
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やって良かったと思えたところ

無垢床・塗り壁が良かった理由|毎日の満足度が変わった

もし「一番満足していることは?」と聞かれたら、私は迷わず自然素材を選んだことと答えます。

無垢フローリングや塗り壁は、性能値として数字で表れるものではありません。

だからこそ、家づくりではコストを優先して諦める方も少なくありません。

ですが、実際に暮らしてみると、その価値は毎日の生活の中で少しずつ積み重なっていきます。

  • 朝起きて裸足で歩いたときの無垢床のやさしい感触。
  • 塗り壁ならではの柔らかな光の反射。
  • 仕事から帰ってきたときに感じる木の温もり。

どれも派手な感動ではありません。

でも、その小さな心地よさが毎日続くことで「家を建てて良かった」と思える理由になっています。

私は家づくりで、面積を少し抑える代わりに素材へ予算を回しました。

住み始めてからは、その判断は間違っていなかったと何度も感じています。

家は毎日触れ、毎日目にする場所です。

家づくりでは設備や性能は数字で比較できます。

でも「居心地」は数字では比較できません。

もちろん、無垢床や塗り壁は一般的な仕上げより費用がかかります。

傷や汚れへの考え方も人によって違います。

それでも我が家では、面積を増やすことより毎日触れる素材に予算を使って良かったと感じています。

素材と同じように、毎日の居心地に大きく影響しているのが照明です。

我が家では、家全体を均一に明るくするのではなく、過ごす場所や見せたい場所に合わせて光を考えました。

小さな家で実践した照明計画については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

▶︎ 小さな家の照明計画についてはこちら

木の温もりを感じる玄関|帰宅した瞬間に「帰ってきた」と思える空間

家に帰ってきて、一番最初に目に入る場所が玄関です。

だからこそ、玄関の印象はとても大切だと考えていました。

我が家では、無垢床だけでなく、壁の一部にも木を張り自然素材の温もりを感じられる空間にしています。

玄関ドアも木製の断熱ドアです。

その玄関ドアを開けると木のやわらかな表情が迎えてくれる。

たったそれだけのことですが「帰ってきたな」と自然に気持ちが切り替わります。

家づくりでは、リビングやキッチンに予算をかける方が多いと思います。

もちろん、それも大切です。

でも、一日に何度も通る玄関だからこそ、最初に感じる空気感を大切にして良かったと感じています。

家の第一印象は、来客だけでなく、

毎日帰ってくる自分自身のためにつくるものだと思います。

ダイニングを一番の居場所にした設計|自然と長居したくなる空間

家の中で一番長く過ごす場所はどこでしょうか。

リビングという方も多いかもしれません。

しかし我が家では、自然とダイニングにいる時間が一番長くなりました。

食事をするだけでなく、本を読んだり、仕事をしたり、夫婦の会話の場になったり。

気が付くと私はいつもダイニングに座っています。

実は、これはある程度狙ってつくった場所でもあります。
「長く居たくなる場所」をつくりたいと考えていたからです。

  • 窓から入る光
  • 坪庭へと視線が抜ける景色
  • 木の素材感
  • 書斎コーナーとの繋がり

それらが重なり合って、自然と落ち着ける場所になりました。

広いリビングがなくても、心地よく過ごせる居場所はつくれます。

実際に住んでみて、それを毎日実感しています。

広さよりも、「ここに座っていたい」と思える場所があることの方が、暮らしの満足度は高いと感じています。

LDKの広さを考えたときも、「何畳にするか」より「どこに居たくなるか」を大切にしました。

▶︎ 27坪のLDKは何畳必要?一級建築士の自邸は約17畳|12畳〜20畳を比較

坪庭のある暮らし|毎朝の景色が一日の気持ちを変えてくれる

坪庭の記事はこれまでにも何度か書いてきました。

それでも、「採用して本当に良かったものは?」と聞かれたら、やはり坪庭は外せません。

毎朝カーテンを開けると、最初に目に入るのは緑です。

季節によって葉の色が変わり、雪が積もれば冬らしい景色になります。

忙しい朝でも、その景色を見るだけで気持ちが落ち着き、「今日も頑張ろう」と自然に思えます。

坪庭は家を広く見せるためだけのものではありません。

毎日の暮らしの中に季節を取り込み、心を少し豊かにしてくれる存在です。

小さな家では「庭は諦めるもの」と思われがちです。

でも私は、小さい家だからこそ庭をどこかにつくる価値は大きいと感じています。

庭は広さではなく、毎日目にすることに価値があります。

実はこの坪庭、最初から今の形だったわけではありません。

西側に配置する案と東側に配置する案で最後まで悩みました。

その設計の過程はこちらの記事で詳しく紹介しています。

▶︎ 坪庭の位置はどこが正解か|27坪の自邸で西側案と東側案を比較した設計記録

造作風呂と坪庭|旅館のような時間を楽しめる空間になった

我が家のお風呂は、ハーフユニットバスを採用し、壁を板張りにしています。

さらに、お風呂から坪庭を眺められるように計画しました。

正直に言えば、これは誰にでもおすすめできる設計ではありません。

ユニットバスと比べると、どうしてもコストが上がるからです。

それでも、「家を小さくして、その分だけ質を高める」というコンセプトの我が家だからこそ採用できたものだと思っています。

仕事を終えて家に帰り、お風呂に入る。

板張りのやさしい雰囲気と、窓の向こうに見える坪庭。

まるで旅館に来たような気分で、一日の疲れをゆっくりとリセットできます。

毎日使う場所だからこそ、その時間が楽しみになる設計には大きな価値があります。

旅館のお風呂のようで、住む前に想像していた以上に快適です。

一級建築士 ドル
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毎日入る場所だからこそ、少し贅沢なくらいが暮らしを豊かにしてくれるのだと思います。

ガス乾燥機・食洗機は採用して正解だった設備

家づくりで採用して良かった設備を挙げるなら、家事を減らしてくれる設備です。

その中でも、特に「採用して良かった」と感じているのがガス乾燥機です。

最近は採用する方も多いですが、正直なところ住む前の私は「本当にそこまで便利なのかな」と少し懐疑的でした。

しかし実際に使い始めてみると、その便利さは想像以上でした。

洗濯が終わったら乾燥機へ移してスイッチを押すだけ。

洗濯物を干す必要がなく、天気を気にすることもありません。

そして何より大きかったのは、洗濯機が止まったあとに

「干さなきゃ。」

と考えなくてよくなったことでした。

時間を短縮できたというより、洗濯のことを気にする時間そのものが減ったという感覚に近いです。

仕上がりもふんわりしていて、タオルなどは特に気持ちよく使えます。

毎日の家事だからこそ、一つ作業が減るだけでも暮らしへの影響は思っていた以上に大きいものでした。

住む前は半信半疑だった設備ですが、今では我が家になくてはならないものの一つです。

ガス乾燥機と同じくらい、毎日助けられているのが食洗機です。

食事を終えたあと、食器をセットしてスイッチを押すだけ。

以前は「手で洗えばいい」と思っていましたが、毎日繰り返す家事だからこそ、自動で任せられることには大きな価値があると感じています。

家づくりでは、設備を削って予算を調整することもあります。

ですが、毎日使う設備については、単純な価格だけではなく「何回使うのか」まで考えてみてもいいと思います。

毎日使う設備は、価格よりも「使う回数」で価値が決まるのかもしれません。

収納は「量」より「場所」|分散収納で片付けが続く家になった

収納は「たくさんあればいい」と思われがちです。

でも、実際に暮らして感じたのは「使う場所の近くに収納があること」の方が大切だということでした。

我が家では大きな収納を一つ設けるのではなく、必要な場所に収納を分散しています。

  • タイヤ・外回りの保管は階段下収納
  • 掃除道具は使う場所の近く
  • 日用品もそれぞれ使う場所に収納しています

そのおかげで「あとで片付けよう」が減りました。

使ったらその場でしまえる。

たったそれだけですが、家が散らかりにくくなり片付けも苦になりません。

収納計画は収納量だけではなく、「しまうまでの動作」を考えることが大切と、住んでから改めて感じています。

収納は量ではなく、使う場所との距離が暮らしやすさを左右します。

我が家で実際にどこに収納を配置したのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

▶︎ 収納を“分散”する設計|27坪の家で実践した、使う場所にしまう収納計画

コンパクトな書斎コーナー|広さより居心地が大切だった

書斎は広くなければ使いにくい、以前はそんなイメージを持っていました。

そのため自邸を設計するときも、大きな書斎をつくるか少し迷いました。

結果として選んだのは、コンパクトな書斎コーナーです。

住み始めてみると、この選択は予想以上に満足度が高いものでした。

  • 仕事をしたいとき
  • 少し本を読みたいとき
  • 一人で考え事をしたいとき

そんな時間に自然と足が向きます。

私はブログを書いたり、少し調べものをしたりするときにも使っています。

一級建築士 ドル
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必要なのは広さではなく、落ち着いて過ごせる居場所だったのだと気付きました。

小さな家だからこそそれぞれの居場所を丁寧につくることの大切さを実感しています。

広い書斎よりも「ここにいたい」と思える場所があることの方が大切でした。

ルーフバルコニーは意外と使う|暮らしにゆとりを与えてくれた

設計中、ルーフバルコニーについてはいろいろな意見を耳にしました。

「結局使わなくなるよ。」

そんな話も少なくありませんでした。

実際に住んでみるまでは私自身も少し不安がありました。

しかし、暮らし始めると予想とは違いました。

天気の良い日に少し外へ出て風を感じたり、景色を眺めたり。

長時間過ごすわけではありません。

でも、その「少し外へ出られる場所」があるだけで暮らしにゆとりが生まれました。

家の中とは違う時間が流れる場所。

それが我が家にとってのルーフバルコニーです。

もちろん、誰にでも必要なものではありません。

使う時間の長さではなく「あること」が暮らしを豊かにする空間もあります。

妻は大の虫嫌いで、夏にルーフバルコニーで食事をしようと誘っても、虫が来るから外に出たくないと断られます。

ですが、少なくとも私にとっては、つくって良かった居場所の一つになっています。

一級建築士 ドル
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まとめ|家づくりでは「毎日繰り返す時間」を大切にしたい

今回振り返ってみると、我が家で「やって良かった」と感じているものには共通点がありました。

それは、どれも毎日の暮らしの中で繰り返し使ったり、目にしたり、触れたりするものだということです。

坪庭も、無垢床も、お風呂も、ダイニングも、ガス乾燥機も、一度だけ感動するものではありません。

毎日少しずつ「いいな」と思える。

その積み重ねが、住んでからの満足度につながっているのだと思います。

この記事を読んだ後に考えてほしいこと

家づくりを考えるとき、一度、

「毎日の暮らしの中で、どんな時間を大切にしたいだろう。」

と考えてみてください。

  • 朝、気持ちよく目覚めること
  • 家に帰ってきたときに、ほっとできること
  • 家族と食事をする時間
  • 一人で落ち着いて過ごす時間
  • お風呂でゆっくり一日を終えること

人によって、大切にしたい時間は違うと思います。

すべてを広くしたり、すべてにお金をかけたりすることはできません。

だからこそ、自分たちが毎日繰り返す時間に、少し面積や予算を使う。

そんな考え方で家を見てみると、「自分たちにとって必要なもの」が見えやすくなると思います。

もしこれから家づくりを始める方や、「何から考えればいいの?」と迷っている方は、まずは家づくり全体の流れを知ることをおすすめします。

私自身が実際に家を建てた経験をもとに、「失敗しないための家づくりの進め方」をロードマップにまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

▶︎ 一級建築士の27坪の自邸から学ぶ家づくり|土地・予算・設計・性能・暮らし

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Profile
27坪の狭小地に自邸を設計し、現在も実際に暮らしています。
広さに頼らず、視線や居場所のつくり方で暮らしの質が変わることを実感しています。
その経験をもとに、限られた条件でも豊かに暮らせる住まいを設計します。
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